JIS製図って何ですか!? 設計意図を伝える「正面図」の重要性3D CADとJIS製図(1)(2/2 ページ)

» 2021年06月02日 10時00分 公開
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2D/3Dモデルの“正面”はどこか?

 それでは、JIS製図に基づく3D CAD設計の最初のステップとして、「正面図」について説明します。

 3D CADを使って設計する場合、2D図面をベースに3D設計することもありますが、そのほとんどは3Dで設計を行ってから、2D図面を作成していると思います。このとき重要になるのが「2D/3Dモデルの“正面”はどこか?」という点です。

 JIS Z8315-1:1999 製図−投影法−第1部:通則 3.4 主投影図(principal view)では、“対象物の主要な特徴を表す図形”のことを「主投影図」と表現していますが、これは正面図のことを意味します。

 つまり、主投影図(正面図)には、設計者が考える“設計意図”が示されている必要があります。正面図を見れば、このモデルがどのような役目を果たす(機能を有する)ものなのかが一目で理解できるということです。3D CAD設計においてもこの考え方に基づき、図面を描くことが求められます。

 では、どうやって正面を決めるのでしょうか。いくつかの例を紹介します。

 六角穴付きボルトを単体で考えた場合、その機能を示す“向き”とは、ネジ頭部が見える向き(図1)ではなく、ネジの全長が見える向き(図2)だといえます。

ネジ頭部(六角穴)が見える向きではなく…… 図1 ネジ頭部(六角穴)が見える向きではなく…… [クリックで拡大]
ネジの全長が見える向きが“正面”に相当する 図2 ネジの全長が見える向きが“正面”に相当する [クリックで拡大]

 では、六角ナット単体ではどうでしょうか。この場合、六角形に見える向きが最も機能を表している向きとなります(図3)。

六角ナット単体では、六角形に見える向きが最も機能を表している(正面の向き) 図3 六角ナット単体では、六角形に見える向きが最も機能を表している(正面の向き) [クリックで拡大]

 続いて、V字ブロックについて考えてみましょう。V字ブロックとは、丸棒(円筒)形状部品の固定や精度を測定する際に用いられる治具のことです。利用イメージを図4に示します。

V字ブロックの利用イメージ(アセンブリ) 図4 V字ブロックの利用イメージ(アセンブリ) [クリックで拡大]

 では、V字ブロックの機能を最も表している向きはどこでしょうか。図5に示した特徴的な形状が分かる向きが“正面方向”となります。

V字ブロックの正面の向き 図5 V字ブロックの正面の向き [クリックで拡大]

 このように、3D CADで3D図面を設計する際は、基準になる正面を決めることが重要です。例えば、SOLIDWORKSではスケッチ平面を、「iCAD SX」では組み立て平面を決めることから3D設計を始めるように、3D空間上の設計においても基準の3平面を決めることが“設計の基本”になります。



 以上、今回は正面図(モデルの正面の重要性)について取り上げました。次回は、たびたび登場する3平面について、2D/3D設計でその基礎となる「第三角法」の説明と、アセンブリ設計からパーツ設計へ展開する際のモデルの向きに関する考え方を、JIS製図の知識を交えながら解説していきます。お楽しみに! (次回へ続く

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Profile

土橋美博(どばし・よしひろ)

1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置メーカーで設計・営業・3次元CAD推進を行う。現在、液晶パネル製造装置を主体に手掛ける株式会社飯沼ゲージ製作所で3次元CADを中心としたデジタルプロセスエンジニアリングの構築を推進する。ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)/SOLIDWORKS User Group Network(SWUGN)のリーダーも務める。


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