アウディもEV100%を宣言、ただし中国ではエンジン車の需要が続く?自動車業界の1週間を振り返る(2/2 ページ)

» 2021年06月26日 08時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
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ルネサス那珂工場が火災前の生産水準に

 日本では自動車メーカー各社の株主総会も開催されました。アウディと同様に脱エンジンを宣言したホンダに対しては、エンジンから撤退することへの懸念が寄せられました。エンジンがカーボンニュートラル時代に生き残る上で有効とされる合成燃料に対し、ホンダは「高コストでマジョリティーになるのが難しい。特殊車両や運転を楽しむクルマ向けに残る可能性はある」という考えです。経済合理性ではカーボンニュートラルの本命はEVである、という考えを貫きます。

 日産自動車は、現在推進中の中期経営計画とは別に、長期ビジョンを策定するようです。株主総会の中で言及されました。同社は2030年代のできるだけ早い時期に新車販売を電動車100%とする目標ですが、EVとシリーズハイブリッドシステム「e-POWER」の両輪で「電動車100%」とします。長期ビジョンの中でエンジンの立ち位置をどう定めるのか、注目ですね。

 三菱自動車の株主総会でも、電動化で存在感が薄れているのではないかという厳しい質問が寄せられました。同社 社長の加藤隆雄氏は「EVがもうかるかが難しい問題である」とビジネスとしてハードルが高いという見解を示しました。

 半導体の供給不足の影響も続いています。7月はダイハツ工業やスズキ、スバル、マツダが操業を停止する日を設けます。マツダは半導体不足で操業を停止するのは初めてだとしています。2021年2月の時点では夏にも供給不足が解消すると見込む大手企業もありましたが、結果的に一筋縄では読めない状況であったことが分かります。

 しかし、明るいニュースもありました。2021年3月に火災が発生したルネサス エレクトロニクスの那珂工場は、6月25日に火災前の生産水準に復帰しました。出荷水準が火災前に戻るのは7月の第3週ごろと見込まれています。半導体供給不足の混乱が広がる中での火災は泣きっ面に蜂状態でしたが、迅速に復旧できたのはいいニュースです。

 自動車メーカー各社が半導体の供給不足の影響を受けており、通期の生産台数は下期の挽回生産を前提としている会社もあります。今は2021年度の第1四半期が終わるところですが、下期の挽回生産を順調に進められることを期待したいですね。

 大規模リコールのニュースもありました。ダイハツ工業は、燃料ポンプの樹脂製インペラの不具合で95万台、ステアリングギアの不適切なシール取り付けとエアコンの凝縮水の浸入で16万台のリコールを発表しました。部品共通化の影響で、1つの不具合が大量の台数のリコールにつながることを改めて感じます。ダイハツは上場廃止していますが、東南アジアのビジネスも含めるとコロナ禍で事業環境は決して良くないはず。コスト改善で収益性を向上させなければならない中での大規模リコールは大きな痛手となりそうです。

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