「品質作り込み」に必要なデジタル基盤の“結ぶ力”、IoTデータから経営情報まで製造業DX

MONOistが2021年6月3〜4日に開催したオンラインでのライブ配信セミナー「製造業×品質、革新するモノづくりの在り方」において「品質の競争力向上から見たDXバリューチェーン構築の実践と事例」をテーマに、AVEVA ソリューション営業本部 ストラテジック アカウントマネージャー 面屋友則氏が講演を行った。

» 2021年06月30日 10時00分 公開
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 製造業にとって「品質」は最も重要なポイントである。従来日本の製造業はこれらの品質を「現場力」で作り込んできたが、人手不足や熟練技術者の引退などにより人を基軸とした「品質の作り込み」が難しくなってきている。加えて、コロナ禍などにより製造現場に多くの人が入ることも難しくなってきている。そこでデジタル技術でこれらをカバーするDX(デジタルトランスフォーメーション)に大きな注目が集まっている。

 これらを背景に、MONOistが2021年6月3〜4日に開催したオンラインライブ配信セミナー「製造業×品質、革新するモノづくりの在り方」では、AVEVA ソリューション営業本部 ストラテジック アカウントマネージャー 面屋友則氏が「品質の競争力向上から見たDXバリューチェーン構築の実践と事例」をテーマに講演を行い、DXによる新たな品質の作り込みに向けた考え方とその事例について紹介した。

企業変革力に必要なデジタルプラットフォーム

 面屋氏はまず、経済産業省などが発行する「ものづくり白書」から、日本におけるモノづくりのDXへの取り組みを振り返り、課題となるポイントについて紹介。品質改善への取り組みが、製造現場やサプライチェーン、エンジニアリングチェーンそれぞれで、個々の現場で分断された「部分最適」となっており、「全体最適」となっていない点を指摘する。ただ、品質におけるコンプライアンス問題が数多く露見し、全社的な取り組みとする機運も高まってきている。経営層による現場把握が進んでいる企業ほど品質管理に有効である傾向なども示されており、品質に関してデジタル技術を活用した新たな仕組みを全社的に構築する機運が高まってきた。

 面屋氏は「ものづくり白書では、組織として品質が担保される仕組みを経営者主導で構築することが訴えられています。そういう意味で、品質についての情報を全社で一元化し、それを全社的に活用する仕組みが求められています」と語る。

photo 日本における製造業デジタル化の動き。さまざまなシステムが分断された形で活用されている(クリックで拡大)出典:AVEVA

 加えて、2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の拡大により、デジタル技術の活用方法も大きく変化してきている。ものづくり白書2020年版では不測の事態に対応するための「ダイナミックケイパビリティ(企業変革力)」の重要性を訴えていたが、これらを実現するには、設計や企画などエンジニアリングチェーンの上流で行えることを増やしていく「フロントローディング」が重要となる。

 また、ダイナミックケイパビリティを実現するために必要だとされる「感知(Sensing)」「捕捉(Seizing)」「変容(Transforming)」の実現は、デジタル技術の活用によってもたらされるものも多い。「変革を素早く見つけ、それに的確に柔軟に対応していくためには、データの収集や連携、AIによる予測や予知、3D設計やシミュレーションによる製品開発の高速化、変種変量、柔軟な工程変更などが必要になります。これらを実現するためには共通のデジタルプラットフォームによるデータ活用が欠かせません」と面屋氏は語る。

IoTデータからあらゆるバリューチェーンの情報を活用

 ただ、製造業において、こうした情報をサプライチェーン、エンジニアリングチェーンを含めて一元的に把握し、活用できるシステムの構築に取り組み始めている企業もあるが、まだまだ実現に苦労している。「多くの企業が認識している通り、特に製造業ではITシステムとOTシステムが分断されており、これらをうまく情報連携することは長年の課題です。また、OT側の製造現場情報をITシステムにそのまま連携させると、データ容量が膨大になります。現場データなどは、産業用時系列データベースなどをOT側で構築しその中で、現場と情報のやりとりをするパフォーマンスチェーンを構築するような考え方が必要になります」と面屋氏は語る。

photo ITとOTの連携、さらに現場で情報サイクルを回すパフォーマンスチェーンが求められる(クリックで拡大)出典:AVEVA

 AVEVAはこうしたITとOTの連携や、現場の設備パフォーマンス向上と最適化に活用するデータを一元的に管理する「アセットパフォーマンス管理(APM)」で世界的に高いポジションを確立するソフトウェアベンダーである。1967年に英国で創業し、プラント向けCADやシミュレーターなどの統合設計開発環境から、プロセスシミュレーション、設備情報収集や制御、生産計画や実績管理、設備保全管理まで、エンジニアリングからオペレーションまでのプラントライフサイクルをカバーしている。さらに2020年8月には、産業用IoTデータ活用基盤などを展開するOSIsoftを買収しており「PI Systemが製品ラインアップに加わり、日本国内市場でさらに確固たる産業用プラットフォームとしての位置付けを確保しています」と面屋氏は語っている。

photo 製造業における情報ポートフォリオ(クリックで拡大)出典:AVEVA

 既に海外では、主要な石油・化学メーカー、鉄鋼メーカー、食品・飲料メーカー、医薬品メーカーなど多くのユーザーを抱えている。セミナーでは、ドイツのBASFが、エチレンプラントにおける生産計画や運転最適化ソリューションの導入や、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)を活用した巡回点検モバイルツールなどを導入した事例などを紹介。さらに、米国のStarbucks Coffeeにおいて、在庫や運用生産データのリアルタイムの透明性と見える化と、これらのデータによりモバイルデバイスを活用したフロアオペレーターの意思決定支援などを行った事例なども説明し、製造業内のさまざまなチェーンにおける情報連携とその活用についての意義を訴えた。

 面屋氏は「品質は事業活動全体で考えるもので、その中では統合されたデータ活用基盤が欠かせません。現場データの収集と蓄積、事業全体との連携は必須となります。このデータの基盤を構築した上で、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、オペレーションチェーン、パフォーマンスチェーンなど、あらゆるバリューチェーンを統合して品質を作り込んでいくことが求められます」と強調している。

 多くの製造業にとって、現在バラバラであるこれらのバリューチェーンを1つ1つデジタル化し連携を取りまとめていくのは非常に難しい。こうした中で、産業用IoTプラットフォームから、エンジニアリングチェーン、パフォーマンスチェーンなど幅広いポートフォリオを持つAVEVAは、ライフサイクル全体でも、単独業務でもデジタル化を推進し、品質向上を支援する数少ない企業の一つだといえる。また、既に海外では豊富な導入実績があり、この実績を日本国内の状況を踏まえながら日本の顧客の課題解決に取り組んでいる。デジタル化、データ連携などで困っている場合は、相談してみるのはいかがだろうか。

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アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2021年7月29日