電源障害によるダウンタイムから考える電源システム設計電源システム解説(5/5 ページ)

» 2021年06月30日 06時00分 公開
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 図12は、MAX17526の電流制限機能と、この機能がシステム起動時にどのように突入電流を抑制するかを示しています。1000μFの大型コンデンサーが、1.0倍の電流制限値(左側)と2.0倍の電流制限値(右側)で、電圧ソースを損傷させることなく制御された方法で充電されています。

図12:突入電流保護(クリックして拡大) 出典:マキシム

 図13は、MAX17526独自の電力制限機能を示しています。この機能を使用すれば、ノード「VEXT」が入力電圧(VSN)に接続されているか、出力電圧(VOUT)に接続されているかに応じて、入力電力または出力電力を制限することができます。このICは、電流制限を動的に調整して入力または出力電力制限を実現します。

図13:電力制限保護(クリックして拡大) 出典:マキシム

 図14は、このICが出力電力を制限するように構成されている場合、電力制限機能がどのように機能して出力電力を10Wに制限するかを示しています。

図14:出力電力制限の応答(クリックして拡大) 出典:マキシム

UL/IECの安全性認証

 前述の通り、最新のシステムは、さまざまな安全規格に適合した保護ICの特徴を生かすことができます。UL2367、IEC60950、またはIEC62368の認証を受けた保護ICは、システムレベルの安全性要件を簡素化することができます。その結果、認証関連のコストを低減するとともに、認証取得に必要な期間を短縮して製品開発を促進することが可能です。例えば、マキシムのMAX17608とMAX17613は、ULおよびIEC認証取得済みの保護ICです。

まとめ

 電源システムは、あらゆるシステムや機器にとって極めて重要な構成要素です。電源障害は内在的なもので起きるものですが、適切な回路保護を実装することによって、システム障害や機器のダウンタイムを予防することが可能です。そうした対策は、競争の激しい今日の世界のビジネス環境において生産性と収益性を確保する上で極めて重要です。

 従来のディスクリートソリューションや単機能ICソリューションと比較して、今日の先進的な保護ICは、小型パッケージで包括的なシステム保護を提供し、高性能で信頼性に優れ、設計および認定も容易です。また、これらの保護ICが提供する高度な機能を利用すれば、今日の複雑な最終機器にとって重要なシステムのモニタリングや診断機能を提供することができます。完全集積化保護ICへの投資は、多大なコストを必要とするダウンタイムへの最も安価な保険になります。

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