半導体は21世紀のキーパーツ、衰退した産業基盤を国家戦略でカバーできるのか製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

半導体関連の国際業界団体であるSEMIジャパンは2021年6月22日、経済産業省が主催する「半導体・デジタル産業戦略検討会議」の内容を中心に同省担当者らが半導体関連の産業戦略を解説するセミナーを開催した。

» 2021年07月02日 14時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 半導体関連国際業界団体SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)の日本代表であるSEMIジャパンは2021年6月22日、経済産業省が主催する「半導体・デジタル産業戦略検討会議」の内容を中心に、同省担当者らが半導体関連の産業戦略を解説するセミナーを開催した。経済産業省 情報産業課 情報産業課長の西川和見氏と経済産業省 情報産業課 デバイス・半導体戦略室長の刀禰正樹(とねまさき)氏の2人が登壇した。

半導体は「21世紀のキーパーツ」

 西川氏は今日の半導体産業が持つ社会的、経済的な重要性について、「20世紀の時代、半導体は電気製品の性能を向上させるための“一部品”と見なされていた。21世紀においてはデジタル化やグリーン化の実現、またデータドリブンな社会を支える上で欠かせないキーパーツとなった。いまや半導体の安定供給は産業基盤の安定化、ひいては国家の安全保障にかかわる問題であり、単なる民間事業者支援という枠組みを超えて国家事業として取り組む必要がある」と説明する。

半導体は産業基盤の要※出典:経済産業省、SEMI[クリックして拡大]

 一方で、20世紀においては欧州、米国とともにグローバル半導体関連市場で大きな存在感を示していた日本だが、21世紀に入ってからは立ち位置が揺らいでいる。日本の半導体産業が衰退した原因の1つにいわゆる「日の丸自前主義」があったと刀禰氏は指摘して、「グローバル市場では水平分業が進んでおり、国内企業も海外企業と連携していく必要がある。そうしなければ、国内半導体産業がグローバル市場で不可欠と見なされるようなポジションを戦略的に確保できない」と語った。

産業基盤強靭化に必要な戦略

 半導体・デジタル産業戦略検討会議は、今後の国内半導体産業基盤の強靭化に向けた戦略をいくつかを提示している。

 1つ目は、先端半導体製造技術の共同開発とファウンドリの国内招致の推進である。刀禰氏は、「いまや先端ロジック半導体の製造技術は国内産業のミッシングピースとなってしまった」と現状認識を示した上で、それでも国内の半導体材料/製造装置メーカーは現在でも世界トップクラスの技術を備えていると説明する。そこで重要になるのが、海外の先端ロジック半導体のファウンドリを国内招致して、国内企業と結び付け、合弁会社設立などを通じて共同技術研究に取り組んでいくという体制の構築である。

 具体的には前工程(微細化ビヨンド2nm)と、後工程(実装3Dパッケージ)の共同技術開発をそれぞれ目指す。すでに半導体材料/製造装置メーカーや新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と連携した技術開発プロジェクトを展開している他、産業技術総合研究所(産総研)を中心とした、共同技術開発推進のためのプラットフォーム構築を図る。海外ファウンドリの招致に関しては、すでに台湾のTSMCが茨城県つくば市の産業技術総合研究所(産総研)に3Dパッケージング化技術の開発拠点を設立すると発表している。

先端ロジック半導体開発と海外ファウンドリの国内招致※出典:経済産業省、SEMI[クリックして拡大]
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