ニュース
» 2021年07月05日 14時00分 公開

「全国の若者と共創を」4周年を迎えた実験スペース100BANCHが渋谷を飛び出すベンチャーニュース

パナソニック、ロフトワーク、カフェ・カンパニーが共同運営する「100BANCH」(東京都渋谷区)は2021年7月2日〜8月28日にかけて、周年イベント「100BANCH ナナナナ祭2021」を開催している。今回は100BANCHが拠点を置く東京都渋谷区を含めて、全国6カ所(愛知県、大阪府、徳島県、山口県、福岡県)で実施する。

[池谷翼,MONOist]

 パナソニック、ロフトワーク、カフェ・カンパニーが共同運営する「100BANCH」(東京都渋谷区)は2021年7月2日〜8月28日にかけて、周年イベント「100BANCH ナナナナ祭2021」を開催している。100BANCHの取り組みに参加するスタートアップやアーティストらが活動成果の展示やワークショップを行う。今回は100BANCHが拠点を置く東京都渋谷区を含めて、全国6カ所(愛知県、大阪府、徳島県、山口県、福岡県)で実施する。

100BANCHの建屋外観[クリックして拡大]

地域ごとに異なるテーマを設定

 100BANCHは2018年に創業100周年を迎えたパナソニックが、若者と共に「次の100年につながる新しい価値の創造」を目指して、2017年7月7日に設立した施設である。ジャンルを問わず35歳以下のメンバーが提案した「新しい価値を創る」ためのプロジェクトを採択して、23人のメンターからのアドバイスや他メンバーとの交流の中で、アイデアの社会実装につながるサポートを提供する。サポート期間は、基本的には3カ月。

 設立から4年間で応募プロジェクト数は697件に達し、その内、採択プロジェクト数は216件となった。また、食用コオロギの養殖を手掛ける「ECOLOGGIE」や、マウスピースのオーダーメイド製造を行う「DRIPS」など、採択後、起業につながったプロジェクトも33件存在する。

 これらのプロジェクトの活動発表を行う場がナナナナ祭である。4回目の開催となる今回からは、100BANCHの3階フロアに作品や商品を発信するギャラリー/シアターを開設するとともに、常設化してイベント終了後も見学できるようにした。また、イベントの開催場所を全国6カ所に拡大する。例えば東京都では「こんにちは未来」、名古屋では「輪廻転生」など、地域によって開催テーマを変えて、それに応じた展示、ワークショップの設計を行っているという。展示物は「BOX Square」と呼ばれるトラック型移動店舗に搭載して、各地域に展開していく。

パナソニックの則武氏[クリックして拡大]

 パナソニック コーポレート戦略本部 経営企画部 未来戦略室 100BANCHユニット ユニットリーダーの則武理恵氏は、今回、全国各地での展開を目指した理由として「全国各地にいる若者との共創力を強化したいという思いがあった」と説明する。

 従来、100BANCHはアクセラレーションプログラムの応募条件に「渋谷での活動が可能なこと」を挙げていたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を経てオンラインベースのコミュニケーション形式を取り入れたことで、条件を撤廃している。こうした変化もあり、渋谷と距離的、空間的に離れた地域にいる若者との共創活動についてもリアル、オンラインの両側面から具体的な検討を行うようになった。イベント開催以外にも、例えば今回出展する徳島県の神山町には100BANCHのサテライトオフィスを設けるといった取り組みも行っており、「渋谷を飛び出て、地域の若者たちとのつながりを深められるような活動を行っていく」(則武氏)という。

IoTティーポットや「余白」を生み出すプロジェクト

 報道陣向けのメディアデイには、100BANCHへの入居経験を持つ企業/団体がさまざまな展示を行っていた。

 IoT(モノのインターネット)ティーポット「teplo」を展開するLOAD&ROADは、2018年頃に100BANCHに参加した後、起業したスタートアップである。飲みたい茶葉を選び、専用のスマートフォンアプリで茶葉の袋に印刷されたQRコードを読み込む。その後、機体下部にあるセンサーに指を乗せると、室内の温度や湿度、照度に加えて脈拍などから飲む人のコンディションなどを測定して、ベストな抽出温度や時間を導き出し、自動抽出してくれる。2020年8月の発売後、多くの注文が寄せられて品切れとなるなど、注目度は高いという。

teploの外観。画像手前の専用茶葉袋に記載されたQRコードを読み取る[クリックして拡大]
LOAD&ROADの河野辺氏[クリックして拡大]

 100BANCHでの入居経験を振り返って、LOAD&ROAD CEOの河野辺和典氏は「入居当時、teploは試作段階にあった。100BANCHでは実際に製品化するまでのプロセスに関するフラットな意見や、量産工場の見つけ方などさまざまなアドバイスをもらえて心強かった」と語った。

 このほか会場では廃材の白色塗料を使って街中に「余白」を生み出すプロジェクト「white squat」や、宇宙への関心度を高める教育事業などを展開するYspace、可動式のシートに登場することでよりリアルなバンジージャンプ体験が味わえるVRコンテンツの展示などがあった。

白色塗料で空間や家電などを塗りつぶすことで「余白」を作るwhite squat(左)。可動式のシートが映像に合わせて倒れ込むことでバンジージャンプをリアルに体験できるVRコンテンツ(右)[クリックして拡大]

⇒その他の「ベンチャーニュース」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.