2D CADから3D CADへの移行はどうしたらいいの?テルえもんの3Dモノづくり相談所(1)(3/3 ページ)

» 2021年07月14日 10時00分 公開
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デジタル化の3つの領域

 以下に示す図3も、先ほどの報告書の中に記載されているものですが、せっかく3D CAD導入を進めるのであれば、デジタルを活用した現場改善と業務改善を行う「I.課題解決」、デジタルを活用した工場全体の最適化やサプライチェーン改革を行う「II.最適化」、デジタルトランスフォーメーション(DX)時代の事業創造や事業戦略に取り組む「III.価値創造」と、着実にステップアップしていきたいものです。

デジタル化の3つの領域 図3 デジタル化の3つの領域 ※出典:令和2年度 東北地域におけるオープンイノベーション加速化に向けた、オープンイノベーション拠点及びデジタルエンジニア人材高度化調査に関する調査報告|経済産業省 東北経済産業局(委託先:日本能率コンサルティング) [クリックで拡大]

 ただ、いきなり価値創造に取り組むのはハードルが高いので、まずは自社の課題を見つけ出してそれを解決していくことから始めてみましょう。もちろん、そうした課題の全てがデジタルで必ず解決できるとは限りません。だからこそ、デジタル活用(今回の内容では「3D CAD導入」)そのものが目的にならないように注意しなければなりません。間違った方向に流され、期待とは違う結果を招いてしまう恐れがあるのです。

 今回のテーマのように、今まさに「2D CADから3D CADへの移行」について検討されているのであれば、あらためて、その理由や目的が何であるかを再確認してみてください。ここがはっきりとしているかどうかがスタートラインです。その際、自社にとっての最終ゴール(価値創造)は何なのかも併せて検討、整理しておいてください。目指す方向が分からなければ、いつまでたってもゴールにはたどり着けません。



 次回は、より具体的な2D CADから3D CADへの移行プロセス、設計環境としての違いや注意点などについて触れていきたいと思います。お楽しみに! (次回へ続く

筆者プロフィール

テルえもん/本名:小原照記(おばら てるき)

いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。


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