特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2021年07月20日 08時00分 公開

パナソニックが100年培った「IE」が現場プロセスイノベーション事業の強みに物流のスマート化(1/3 ページ)

パナソニック コネクティッドソリューションズ社が「現場プロセスイノベーション」事業の国内戦略と新ソリューションを発表。製造業として100年以上の歴史を持つパナソニックのIE(インダストリアルエンジニアリング)を強みとして、製造や物流、流通分野のSCM(サプライチェーンマネジメント)の課題解決に貢献していく方針だ。

[朴尚洙,MONOist]
パナソニックの片倉達夫氏 パナソニックの片倉達夫氏 出典:パナソニック

 パナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社とパナソニック システムソリューションズ ジャパン(PSSJ)は2021年7月19日、オンラインで会見を開き、両社が注力する「現場プロセスイノベーション」事業の国内戦略と新ソリューションを発表した。製造業として100年以上の歴史を持つパナソニックのIE(インダストリアルエンジニアリング)の知見を活用したコンサルティングやSaaSベースのソリューション提供により、製造や物流、流通分野のSCM(サプライチェーンマネジメント)の課題解決に貢献するとともに、国内現場プロセスイノベーション事業に占めるリカーリング比率について、2021年度の売上高20%、利益40%から、2030年度には売上高30%、利益60%に高めたい考えだ。

 パナソニックは2021年4月、SCMソリューションを展開するブルーヨンダー(Blue Yonder)の100%子会社化を発表している。2022年4月にスタートするパナソニックグループの事業会社化において、ブルーヨンダーを傘下に収めて事業を展開していくのが、CNS社とPSSJが一体となった「パナソニック コネクト株式会社」である。パナソニック CNS社 上席副社長でPSSJ 社長の片倉達夫氏は「ブルーヨンダーの100%子会社化については、2021年度10〜12月期に完了できるように手続きを進めている。今回の発表は、ブルーヨンダーとは別に、パナソニック自身が顧客のSCMの困りごとにどのように貢献できるかに主眼を置いたものになる」と語る。

より大きくなり、複雑化しているSCMの課題

 CNS社が現場プロセスイノベーション事業への注力を発表した2018年5月から、国内産業におけるSCMの課題はより大きくなり、複雑化している。特に、2020年春からのコロナ禍の下では、需要の急激な変化、その需要変化による工場での調達・人員調整の混乱、消費行動変化による物流量の急増が大きな問題になっている。片倉氏は「これらの問題に対応するべく求められているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)だが、なかなかうまく導入できていないのが実情だろう。これは、SCMの現場の多くが個別最適や熟練技術者への経験依存に基づいており、そこに言語化できていない暗黙知が多く存在していることに起因している」と指摘する。

日本企業におけるDXの課題 日本企業におけるDXの課題。個別最適や熟練技術者への経験依存に基づいており、そこに言語化できていない暗黙知が多く存在している(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 片倉氏は、SCMの現場の課題として「作業に潜む課題の特定が難しい」「待つ・迷う時間の発生」「各業務プロセスに標準・基準値がない」の3つを挙げた。1つ目の「作業に潜む課題の特定が難しい」は、生産性に影響を及ぼす工程の特定が難しく、課題の把握に膨大な時間がかかっていることを指す。この課題解決で役立つのは、「製造業100年の経験に基づいて現場の課題を把握できるIEの知見」(同氏)と、現場の情報を画像認識やセンシング技術で取得して素早く作業に潜む課題を把握し仮説検証を行えるソリューションだ。

SCMの現場の課題「作業に潜む課題の特定が難しい」 SCMの現場の課題「作業に潜む課題の特定が難しい」(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 2つ目の「待つ・迷う時間の発生」は、例えば物流において、トラックが到着していても荷物の仕分けが間に合っていないためにトラックが数時間待機せざるを得ないような事態が当てはまる。「この待つ・迷う時間は何の価値も生み出さない」(片倉氏)。パナソニックは、現場の各業務が同期できるようなさまざまなソリューションを用意しているという。

SCMの現場の課題「待つ・迷う時間の発生」 SCMの現場の課題「待つ・迷う時間の発生」(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 3つ目の「各業務プロセスに標準・基準値がない」では、製造業のモノづくりがIEなどを活用して規定している各業務の標準時間などがないため、実態の把握が難しく、改善効果を評価できない状況が課題になっている。パナソニックは、画像認識やセンシング技術で広く現場を可視化しつつ、その情報を直感的に理解しやすいグラフなどのデータに変換するIEの技術を有している。

SCMの現場の課題「各業務プロセスに標準・基準値がない」 SCMの現場の課題「各業務プロセスに標準・基準値がない」(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 片倉氏は「国内企業がDXを導入する際によくあるのが、現場の業務プロセスを定義しないまま、あるいは標準値を策定しないまま、デジタルだけを導入するパターンだ。これではどこに真の課題があるのか、経営に結びついている課題は何なのかを把握できないまま、デジタル化だけを行うことになり、システム導入の効果が明確にならず、さらには現場の改善も期待できなくなってしまう」と強調する。

 パナソニックではまず、業務プロセスの標準化でアナログな現場の課題を明確にしてからシステム導入を行う。そこに、荷物数や販売数、顧客数などのデータを組み合わせ、需要に対応した人員計画を作ることが可能になる。そして、複雑な現場を、画像認識やセンシング技術といったデジタル技術で計測可能にすることで、現場プロセスイノベーションを実現できるというわけだ。

パナソニックはSCMの現場の課題に「現場の可視化」と「現場の業務プロセス改革」で対応する パナソニックはSCMの現場の課題に「現場の可視化」と「現場の業務プロセス改革」で対応する(クリックで拡大) 出典:パナソニック
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