シャープとニコンがバイオミメティクスに関する共同開発契約を締結製造マネジメントニュース

シャープとニコンは2021年7月20日、生物が持つ構造や機能をエンジニアリングに応用する「バイオミメティクス(生物模倣)」の技術実装に関する共同開発契約を締結したと発表した。

» 2021年07月21日 09時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 シャープとニコンは2021年7月20日、生物が持つ構造や機能をエンジニアリングに応用する「バイオミメティクス(生物模倣)」の技術実装に関する共同開発契約を締結したと発表した。同契約を通じて、シャープが保有するバイオミメティクス技術と、ニコンの持つ微細加工技術を組み合わせることで、防汚性や撥水性、抵抗軽減などの性能を持つ表面形状のパーツ開発と製品実装を目指す。

 シャープとニコンは以前から、バイオミメティクス技術に関する取り組みをそれぞれ行っていた。シャープは2008年から、バイオミメティクスを「ネイチャーテクノロジー」と称して研究開発を続けており、暮らしや環境に配慮した家電製品群への技術応用を進めてきた。すでに、エアコンの室外機や空気清浄機など10カテゴリー以上の製品パーツに用いられており、基本性能の向上や消費電力削減に効果を発揮しているという。

 またニコンでは、レーザーと微細加工技術を活用して“サメ肌”のような表面形状を作るリブレット加工技術の事業展開を目指して、さまざまな企業との提携を進めている。産業機器などにおいて、流体との接触面にリブレット加工を施すことで、液体と気体の不規則な流れによる摩擦抵抗を低減して、エネルギー効率を向上させることなどが可能になる。

 今回の契約を通じて、シャープ側はネイチャーテクノロジーや家電製品などへの技術搭載に関する知見を、ニコン側は3次元曲面への微細加工技術の適用方法やレーザー加工に関する技術や知見の提供を行う。

 これまでにシャープとニコンが実施した共同実験において、エアコン室外機のプロペラファンにリブレット加工を施すことで、一定の省エネルギー効果が得られることを確認しているという。2023年度中にバイオミメティクス技術を活用した製品の実用化を目指して、共同開発を進める計画だ。

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