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» 2021年08月05日 14時00分 公開

カーボンニュートラル達成に向けた日産自動車の現在地電動化

日産自動車は2021年7月30日、ESGの各領域に関する取り組みを紹介する年次活動報告書「サステナビリティレポート2021」を公開した。本稿では環境問題に対する同社の取り組みを抜粋して紹介する。

[池谷翼,MONOist]

 日産自動車は2021年7月30日、ESG(Environment、Social、Governance)の各領域に関する取り組みを紹介する年次活動報告書「サステナビリティレポート2021」を公開した。また同日、同レポートの内容に基づいた「日産サステナビリティセミナー」も開催されており、本稿ではその中から環境問題に対する同社の取り組みを抜粋して紹介する。

CO2排出量削減の進捗

 日産自動車はサステナビリティに関する2022年までの包括的活動指針を定めた「Nissan Sustainability 2022」を2018年に発表した。同指針の中ではESG、すなわち、環境(Environment)、社会性(Social)、ガバナンス(Governance)の各分野における取り組みの方針が記載されている。特に環境分野では、気候変動や資源依存、大気品質、水資源を重点領域として、各領域の課題解決に向けて「CO2排出量の削減」と「資源依存の低減」に関する取り組みを推進するとした。

日産自動車の田川氏

 「CO2排出量の削減」については、日産自動車が販売する新車からのCO2排出量を、2022年度までに2000年度比で40%削減するとした。加えて、企業活動全体から排出されるCO2を、2022年度までに2005年度比で30%削減するという目標も掲げている。これらの目標に対する取り組みの進捗について、同社 専務執行役員/チーフ サステナビリティ オフィサーの田川丈二氏は「新車からの排出量については2020年度までに2000年度比37.4%の削減を、企業全体の排出量については2020年度時点で2005年度比33.7%の排出量削減をそれぞれ達成している」と説明した。

新車からのCO2排出量の削減目標※出典:日産自動車[クリックして拡大]
企業活動全体の排出削減目標※出典:日産自動車[クリックして拡大]

カーボンニュートラル達成に向けた取り組み

 また、日産自動車は2021年、2050年までに自動車の生産、使用時、使用済み製品のリサイクルまで含めたプロダクトライフサイクル全体で、カーボンニュートラルを達成するという目標も発表している。この目標に向けた取り組みの1つとして、2030年代の早期から主要国市場で発売する新型車を全て電動車両にすることを目指す。

 この目標に向けて日産自動車は、英国のサンダーランド工場におけるクロスオーバーEVの生産を中心とする、「世界初」(同社)となるEV生産のエコシステムに向けたハブ「EV36Zero」を2021年に公開した。なお、サンダーランド工場では、欧州で生産するEV「リーフ」の生産時電力を全て賄える、3万7000枚の太陽光パネルによる20MW規模の発電設備を導入予定だという。

 この他にもEV用バッテリーの技術開発に取り組んでおり、田川氏は「現在ではコバルトフリーバッテリーや全固体電池の開発を進めている他、電動パワートレイン『e-POWER』の効率性向上にも取り組んでいる」と語った。

 また、カーボンニュートラル以外の環境問題に対する取り組みとして、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進に向けて、2022年度までに自動車1台当たりに使用する資源の新規採掘量を現在比で70%程度に減らす他、リサイクル材の積極的な使用や、資源利用効率向上に向けた取り組みを加速するとしている。

サーキュラーエコノミーを加速※出典:日産自動車[クリックして拡大]

EVバッテリーを蓄電池としてリサイクル

日産自動車の内田氏

 日産自動車 社長兼最高経営責任者の内田誠氏は「カーボンニュートラルは喫緊の課題だが、当社だけでなく取引先販売会社と一体となって、自動車のライフサイクル全体を改革していく必要がある。EV36Zeroを通じたエコシステムへの働きかけもそうだが、日産自動車として自動車のサプライチェーン全体に提供できるカーボンニュートラルの価値を高めていきたい。また、当社の顧客も環境への意識が高まっており、日産自動車らしい価値を提供し続けられるよう努める」と説明した。

 また田川氏は、EV普及などを通じて地球温暖化や災害対策などの課題を解決する日産自動車の取り組み「ブルー・スイッチ」に触れて、「現在、130を超える自治体などのパートナーと連携して、EVのバッテリーを蓄電池としてリサイクルする取り組みを進めている。バッテリーを自動車の動力源としてではなく、災害対策としても活用するこの取り組みは、将来的には気候変動の影響を受けやすいアジア地域をはじめ、欧州、米国にも取り組みが広がっていくのではないかと思っている」と展望を語った。

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