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» 2021年08月16日 09時00分 公開

DXは「Why」から始めよ、購買調達プロセスの改革成否を握るポイントモノづくり最前線レポート(2/2 ページ)

[池谷翼,MONOist]
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DXの成否を握る「若手の存在」

 戸田氏は、製造業におけるDXを、その実現する価値に注目して「作業のDX」「バリューチェーンのDX」「ビジネスモデルのDX」「風土/文化のDX」の4種類に分類する。

DXの4レイヤー※出典:CADDi、A1A[クリックして拡大]

 作業のDXとはいわゆる単純作業のデジタル化推進であり、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による作業効率化などがこれに該当し、「世の中の90%超のDX事例がこれに該当する」(戸田氏)という。ただ、これらの取り組みは経営レイヤーに改革の影響が波及することなく、表層的なコスト削減効果にとどまることも多い。

 バリューチェーンのDXは、バリューチェーン全体の効率や質の向上を目指すものである。品質不良改善のために品質不良の原因と設計図面をデータ化して相関を分析することで、設計品質の改善に役立てるケースなどがこれに当てはまる。

 また、戸田氏はバリューチェーンのDXにおいて実現可能な価値について「売り上げ向上」「コスト低減」「リスク低減」の3つを挙げて、それぞれについて「営業」「企画・設計」「調達」「製造/組み立て/施工」「アフターサービス/O&M(オペレーション・メンテナンス)」といった各バリューチェーンでの具体的な施策を考案、実行する必要があると指摘する。例えば、売り上げ拡大を目指す場合は営業プロセスにおいて「顧客ターゲティングの精緻化を行う」や「効率的な営業ルートを開拓する」、調達プロセスでは「過去の図面や見積もり、予測データを収集してコスト削減支援を行う」などが考えられる。

バリューチェーンのDX施策例※出典:CADDi、A1A[クリックして拡大]

 ビジネスモデルのDXとは、既存の「もうけの仕組み」全般の改革であり、製造業ではいわゆる「モノからコトへ」という流れがその代表である。戸田氏はGE(General Electric)の事例を挙げて「同社ではエンジンの稼働時間や稼働時間に応じて課金するというビジネスモデルがある。IoT(モノのインターネット)サービスやデバイスの普及などで、こうした課金形式も導入可能になった」と説明する。

 風土/文化のDXはデジタルネイティブな企業文化の実現であり、データを蓄積して改善に役立てるという発想の定着を図る試みだ。「昨今ではさまざまなデータをビジネス工程で取得しやすい環境になってきた。データの蓄積と活用への意識づくりがしっかりと組織の土壌に根付いている企業であれば、DXをパワフルに推進できるだろう」(戸田氏)。

 また北野氏は、現場の人間がいかに当事者意識をもってプロジェクトに取り組むことの重要性について指摘した。

 「私が部品の受発注を担当した自動車部品メーカーでは、本社の購買部門とは別に各工場に資材担当者を配置していた。プロジェクト開始当初はDXを企画する側と現場で取り組みへの意識に差があったため、なかなかうまく進まなかった。そこで現場の若手担当者とその上長をDXプロジェクトの推進役として巻き込んだところ、プロジェクトが非常にスムーズに進行するようになった。若手にとっては業務のポイントを学ぶいい機会にもなる。若手の存在はデジタル化推進プロジェクトを推進する上で重要かもしれない」(北野氏)。

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