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» 2021年08月19日 11時00分 公開

これから製造業のコト売りはどう進化していくのかサブスクで稼ぐ製造業のソフトウェア新時代(12)(1/3 ページ)

サブスクリプションに代表される、ソフトウェアビジネスによる収益化を製造業で実現するためのノウハウを紹介する本連載。最終回となる第12回は、海外などの動向や示唆を基に、これからの製造業のソフトウェアビジネスについて、どのような方向へ進化していくべきなのかを考える。

[前田利幸(日本セーフネット/タレス・グループ),MONOist]

 製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が、コロナ禍を追い風にさらなる加速を見せている。これからの製造業は想定外の事態に対応しながら、デジタル革新によって変化に対して柔軟に対応することが求められるが、そこでは必ずソフトウェアが主要な役割を担うことになる。今後、企業はソフトウェアに対して、さらなる戦略的な開発投資とビジネスモデル革新の必要に迫られることになるだろう。

 本連載の最終回となる今回は、海外などの動向や示唆を基に、これからの製造業のソフトウェアビジネスについて、どのような方向へ進化していくべきなのかを考えてみたいと思う。

⇒連載「サブスクで稼ぐ製造業のソフトウェア新時代」バックナンバー

完全な切り離しが進むハードウェアとソフトウェア

 ハードウェアによる差別化が難しくなり、モノが売れない時代が到来していることはこれまでの連載でも繰り返し伝えてきた。ハードウェアの性能向上と低価格化は、今後さらに加速していく。利益を出しづらくなったハードウェアに代わって、ソフトウェアで収益力強化を図る戦略は自然の流れといえるだろう。

イメージ ※図はイメージです

 しかし、ハードウェアがなくなるわけではない。今後のハードウェアはプラットフォームとなり、ソフトウェアが付加価値の中心となって、ハードウェアに主要な機能を提供するようになるだろう。ほとんどの機能はソフトウェアでサービスとして提供され、パーツを入れ替えるようにソフトウェアが追加できて、新しい機能がすぐに利用できるようになる。

 これからは単なるハードウェアの販売だけでは競争できない市場が形成されていくことになるだろう。製造業の収益の源泉は、ハードウェアの販売だけではなくなり、ソフトウェアを起点にサービスを組み合わせていく必要に迫られることになる。

 また、現在のハードウェアの売り上げが好調な産業でも、それが永遠に続くと考えてあぐらをかくわけにはいかない。

 例えば、いわゆる“コロナバブル”で半導体に関連する事業はかつてないほどの盛り上がりを見せている。だが、このバブルが永遠に続くと誰もが考えているわけではない。もし、いつか、このバブルがはじけて冬の時代に突入した場合に備えて、今から対策は講じておく必要がある。夢から覚めた頃には市場で勝負できなくなっていた、といった事態は避けなくてはならない。

加速するソフトウェアの進化

 ソフトウェアはPCだけではなく、クラウド、仮想環境、オンライン、オフライン、モバイル、組み込みデバイスなど、さまざまな環境で形を変えながら動作している。ソフトウェアは人々のワークスタイルの変化に応え、テクノロジーの進化にいち早く対応してきた。

 ソフトウェアの利用が、オンプレミスからクラウドに移行が進むことによって、アプリケーションを稼働させていた現場のサーバから、徐々にクラウドへ移行するケースも増えている。エンドユーザーがオンプレミスでサーバを立てることが少なくなり、従来のアプリケーションはクラウドで利用するようになってきた。

 こうして、オンプレミスが中心だった製造業のソフトウェアの世界にクラウドが加わるが、決してオンプレミスがなくなるわけではない。今後はオンプレミスとクラウドが共存し、ハイブリッドな構成でソフトウェアが提供され、ビジネスモデルもライセンシングもより複雑になっていく。そうなると、クラウドでもオンプレミスでも、動作環境やネット環境、ソフトウェアの構成を問わずにアクティベーション(有効化)や機能のアップデートができる環境の整備がさらに求められる。オンプレミスでもクラウドでも、動作環境やデバイスを問わず、エンドユーザーにライセンスを発行できる、共通のライセンシングバックオフィスで業務効率を向上させる対応も欠かせないだろう。

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