重合反応プロセス向け自動連続測定システム普及へ、横河電機が米新興企業に出資FAニュース

横河電機は2021年8月17日、米国フルーエンスアナリティクスとの間で、戦略的な業務提携契約を締結したと発表した。横河電機がフルーエンスアナリティクスに出資し、同社製品の取り扱いを2021年中に開始するとともに将来的には新製品の独占販売権獲得などを進める。

» 2021年08月19日 07時00分 公開
[MONOist]

 横河電機は2021年8月17日、米国Fluence Analytics(フルーエンスアナリティクス)との間で、戦略的な業務提携契約を締結したと発表した。横河電機がフルーエンスアナリティクスに出資し、同社製品の取り扱いを2021年中に開始するとともに将来的には新製品の独占販売権獲得などを進める。

 化学業界では、重合反応プロセスの状況を定期的に分析、確認し、その結果をもとにプラントの制御を行い、製品を製造している。ただ、刻々と変化する反応状況を確認するためには、リアクターから研究所に人間の手でサンプルを運ぶ場合が多く、分析時間も含めると1回当たり最大5時間かかるケースなども見られていた。ただ、この時間ロスが大きいことで、タイムリーな判断が難しく、製品の品質を安定させることが困難な状況生まれていた。さらに、サンプルを抽出し運ぶ作業員の安全配慮が欠かせないなど、さまざまな負荷が発生していた。

 フルーエンスアナリティクスは米国ヒューストンに本拠を持つ2012年創業のスタートアップ企業で、重合反応プロセスを持つ化学メーカーにハードウェアとソフトウェアを組み合わせた分析ソリューションを提供している。同社ではACOMP (Automatic Continuous Online Monitoring of Polymerization:重合反応プロセス向け自動連続測定システム)を提供している。

 ACOMPは世界で唯一、化学メーカーの重合反応プロセス(プラスチック、ゴム、塗料など)において重合反応中の溶液を自動的に抽出し、状況を判断する上で重要な測定項目(粘度、分子量、モノマー濃度、総溶質濃度など)を連続的に分析することができる装置である。既にフルーエンスアナリティクス顧客への利用実績などもあり、導入により、安全、品質、収率の向上、操業の効率化への貢献が期待できるという。

 横河電機 執行役員 横河プロダクト本部長 長谷川健司氏は「この新しい重合反応プロセス向け自動連続測定システムは、健康・安全・環境保全に寄与するだけでなく、分析時間や不良品の削減によって、導入による効果額は一般的なサイズの重合プラントにおける試算として年間約1.5億円を見込んでいる」とコメントしている。

 今回の両社の契約により、横河電機は2021年内に、顧客現場においてフルーエンスアナリティクスのACOMP既存製品の試験運用を開始する。また将来的にフルーエンスアナリティクスが発売する新製品の独占販売権(一部地域は共同販売)を獲得するとしている。

photo ACOMPの価値(クリックで拡大)出典:横河電機

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