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» 2021年08月26日 10時00分 公開

2D CADと3D CAD、設計環境としての“違い”とは?テルえもんの3Dモノづくり相談所(2)(2/3 ページ)

[小原照記/いわてデジタルエンジニア育成センター,MONOist]

2D図面と3Dモデルの違い

 では、アウトプットである2D図面と3Dモデルの違いはどこにあるのでしょうか。筆者なりの比較を表1にまとめました。

3Dモデル
(立体)
2D図面
(平面)
備考
寸法確認 寸法(サイズ)の確認は図面の方がしやすい
形状認識 全体的な形状・デザインは立体で見た方が分かりやすい
提案力・プレゼン 色を付けたり、背景を入れたりすることでプレゼン力がアップ
データ互換性 2D図面はDWGやDXFでデータ交換可能。3D CADは種類が多く互換性もさまざま
情報共有 専用ソフト 紙・PDF 図面は紙で配布しやすい。汚れてもよく扱いやすい
表1 3Dモデルと2D図面の比較

 寸法確認に関しては平面の2D図面の方が、形状認識については立体の3Dモデルの方が確認しやすいといえます。提案力・プレゼン力は、形状に色を付けたり、背景を入れたりして魅力ある画像などを作ることができる3Dモデルの方が優れています。データ互換性については、2D図面も3Dモデルも中間ファイルがあり、データのやりとりができますが、3Dモデルの場合は面のデータも含まれ情報量が多くなり、データの受け渡しがうまくいかないケースも見られます。情報共有は、2D図面は紙やPDFで共有できて扱いやすいのに対して、3Dモデルは専用のソフトやアプリケーションが必要となるケースが多くあります。ただ、最近では無料のビュワーやWebブラウザで形状を確認できるものも登場しています。また、3DモデルをVR(仮想現実)/AR(拡張現実)空間で表示、確認できるツールなどもあります。

2D CADと3D CADの違い

 続いて、2D CADと3D CADの違いについて、筆者なりの比較を示します(表2)。

3D CAD 2D CAD 備考
作図機能 作図機能は2D CADの方が優れている
図面作製 引き分け:3D CADは三面図をミスなく自動で作れる利点がある(設変も連動)
形状の正確性 3D CADは干渉や質量を容易に確認できる
データ活用 3Dであれば、CAEやCAM、3Dプリンタなどへ活用できる
データ量 大きい 小さい 3Dの方がデータ量は大きいため、データ保管のために外付けHDDなどが必要
価格・コスト 高価 安価 ソフトは一般的に3D CADの方が高い
習得時間 長い 短い 一般的に3D CADの方が時間がかかる
PCスペック 高い 低い 3D CADの方がハイスペックなPCを要求される
表2 3D CADと2D CADの比較

 作図機能については、2D CADの方が一般的に優れています。図面作製については、作図機能に優れる2D CADは隠線処理など見やすい図面を作れますが、3D CADだと立体図を投影して三面図を自動生成できて、3Dモデルを修正すると図面も連動して修正されるため、引き分けとしました。

 2D CADで2D図面を作製した場合、正面図と側面図が合わない図面を描いてしまったり、線を描き忘れてしまったりなどの図面ミスも起きやすいです。やはり、形状の正確性に関しては、干渉や質量を容易に確認できる3D CADの方が優れています。データ活用については、3D CADの方がCAEやCAM、3Dプリンタなどへ展開しやすく、幅広い用途で活用できます。ただし、3D CADの方が情報量が多いためデータ容量も大きく、データ保管には外付けのHDDなどが別途必要になってきます。

 また、価格・コストですが、一般的に3D CADソフトの方が高価で、習得にも時間がかかります。また、用意するPCのスペックも3D CADの方がハイスペックなものを要求されます。実際、導入や立ち上げにコストが生じますが、3D CAD導入によるメリットが大きいことから、多くの企業で3D CAD導入が進んでいます。

 習得時間の差に目を向けてみると、2D CADはいわば“従来の製図作業をコンピュータでデジタル化したもの”といえるため、これまでの設計のやり方を大きく変える必要はありませんでした。これに対して、3D CADはPCの中に実際の部品や製品の立体形状を作成することから、従来の製図作業や2D CADでの設計のやり方に、+αの考え方が求められる(考え方を切り替える必要がある)ため、習得に時間がかかる傾向にあります。

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