リテールテック導入で経営者と従業員に温度差、小売業界のグローバル調査で判明スマートリテール(2/3 ページ)

» 2021年09月16日 09時00分 公開
[池谷翼MONOist]

Eコマース利用増加で在庫/返品管理が複雑化

 近年、Eコマースで注文された商品を実店舗でピックアップして購買客に受け渡しや配達をする事例が増加している。このために起こっているのが「実店舗でのピックアップ増加による在庫管理と返品管理の複雑化」という2つ目のトレンドになる。

 この要因の1つになっているのが実店舗における在庫状況への影響だ。購買客が何も買わずに実店舗を出る理由として、「商品棚に目当ての商品がなかった」を挙げる人が回答者の31%となったが、これは前年比13%増となっている。

在庫管理が課題に※出典:ゼブラ・テクノロジーズ[クリックして拡大]

 もう1つの要因は、Eコマースの利用率上昇と共に生じた返品率の増加である。調査では、購買客の5人に1人がオンラインで購入した商品を返品したことがあると回答した。また、こうした返品対応を行う実店舗の店員の内、57%がストレスを感じると答えている。古川氏は「Eコマースが発達する以前と異なり、商品は購買客の手元に届くまでに、いくつもの工場や倉庫、店舗などの拠点を経由することになる。こうしたサプライチェーンの複雑さが返品管理をより複雑なものにしている」と説明する。

サプライチェーンの複雑化が返品管理をより困難に※出典:ゼブラ・テクノロジーズ[クリックして拡大]

 3つ目のトレンドである「安全重視による非接触への対応」は、COVID-19などを背景に高まるセルフレジやキャッシュレス決済などの非接触テクノロジーへの購買客からの期待の高まりを指摘するものである。購買客によるセルフレジの利用率は47%と前年比7%増となり、さらに91%が今後も利用を継続する予定だと回答している。

非接触テクノロジーの利用も進む※出典:ゼブラ・テクノロジーズ[クリックして拡大]

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