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「EVERING」は指輪をかざして決済完了、非接触決済はウェアラブル端末に統合へウェアラブルニュース(1/2 ページ)

タレスジャパンは、フィンテックスタートアップのEVERINGが2021年秋に一般発売する非接触決済のためのリング型デバイス「EVERING」に、タレスの決済ソリューションと組み込みセキュリティ技術が採用されたと発表した。

» 2021年09月17日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
EVERINGの川田健氏 EVERINGの川田健氏

 タレスジャパンは2021年9月15日、オンラインで会見を開き、フィンテックスタートアップのEVERINGが同年秋に一般発売する非接触決済のためのリング型デバイス「EVERING」に、タレスの決済ソリューションと組み込みセキュリティ技術が採用されたと発表した。

 製品としてのEVERINGは、NFC(近距離無線通信)機能を搭載し、電子マネーをプリペイド式でチャージできるリング型デバイスである。EVERING 代表取締役 CEOの川田健氏は「“Less is Smart”のビジョンの下、スマートフォンを使わない形で、ただ指に着けたEVERINGをかざすだけで非接触決済が完了する利便性を提供すべく開発した」と語る。

「EVERING」のビジョンは“Less is Smart” 「EVERING」のビジョンは“Less is Smart”(クリックで拡大) 出典:EVERING
「EVERING」を構成する3つの技術要素Visaのタッチ決済に対応していれば利用可能だ 「EVERING」を構成する3つの技術要素(左)。コンビニエンスストアなどVisaのタッチ決済に対応していれば利用可能だ(右)(クリックで拡大) 出典:EVERING

 1日にスマートフォンを持ち上げる平均回数が56回という調査があるなど、日々の生活でスマートフォンが果たす役割は非常に大きくなっている。普及が進みつつある電子マネーによる決済でも、このスマートフォンを利用する機会が多くなっている。「レジの行列を見て購入を諦めた経験がある人も多いだろう。決済速度で現金支払いの3.5倍速い非接触決済はこういったレジの行列を短くする効果もある」(川田氏)。また、コロナ禍によって、現金などの手渡しやクレジットカードの受け渡し、クレジットカードの暗証番号入力などによって発生する接触を避けるため、非接触決済への意識も高まっている。

 EVERINGは、この非接触決済について、スマートフォンやカード、スマートウォッチではなく、指にはめるリング型デバイスで行う。外装は、人工骨や人工歯などに用いられるジルコニアセラミックスを用いている。低刺激かつ高耐久で、5気圧の防水も実現した。NFC TYPE-Aに対応するICチップをはじめとするNFC回路を内蔵しているので、ICカードなどと同様に充電することなく利用できる。利用できる電子マネーは、Visaのタッチ決済で、スマートフォンアプリであらかじめ金額をチャージするプリペイド式となっている。チャージに対応するクレジットカードは、VisaだけでなくMastercard、JCB、American Expressなども利用可能だ。

「EVERING」の特徴 「EVERING」の特徴(クリックで拡大) 出典:EVERING

 非接触決済で重視されるセキュリティについては、国際標準のセキュリティ認証技術に対応するVisaプリペイドカード機能に基づいており、紛失した場合などにはスマートフォンアプリからワンタップで利用を停止できるようになっている。

スマートフォンアプリからワンタップで利用を停止できる スマートフォンアプリからワンタップで利用を停止できる(クリックで拡大) 出典:EVERING

 カラーはブラックの他、2021年内にホワイトも発売する予定。リングのサイズは、米国標準で4.5型(内径15.3/内周48mm)〜13型(内径22.3/内周70.2mm)の17種類を用意する。価格(税込み)は1万9800円だ。なお、有効期間は4年となっているが「クレジットカードなどと同じで内蔵のICチップの有効期限が定められており、それに基づいて4年とさせていただいている」(川田氏)という。

 また、正式発売後の展開としては、スマートロックとの連携、交通系ICチップへの対応、オフィスエントランスやチケットの認証への適用、シェアリングエコノミーでの活用などを想定している。川田氏は「スマートロックとの連携については、現行モデルをそのまま利用できると考えている」としている。

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