AIが人の作業を動画から自動分析、カメラだけで作業時間やサイクルタイムを取得製造ITニュース

ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)は2021年9月16日、「mcframe MOTION」シリーズについて、新コンセプトに基づき製品体系の刷新と機能強化を行ったと発表した。また、新コンセプトの下、mcframe MOTIONシリーズの2製品に新機能を追加した。

» 2021年09月28日 14時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)は2021年9月16日、製造現場などにおける「人の動き」のデジタル化を実現する「mcframe MOTION」シリーズについて、新コンセプトに基づき製品体系の刷新と機能強化を行ったと発表した。また、新コンセプトの下、mcframe MOTIONシリーズの既製品である「VR-learning」と「Human-tracking」に新機能を追加した。

VR教材のブラウザ再生に対応

 これまでB-EN-Gは、人の動きのデジタル化、見える化を通じて、製造現場における作業や人材教育の効率化を支援するというコンセプトの下、mcframe MOTIONシリーズの製品開発を進めてきた。今回、同社は新コンセプトとして「人の動きのデジタル化による作業者の能力向上サイクルの実現」を掲げ、作業者の教育、実践、作業評価、改善という4フェーズの効果をより高めるための製品体系に刷新する。

 これに伴い、同シリーズのVRトレーニングシステム「VR-learning」と作業評価システム「Human-tracking」の2製品に新機能を追加した。

 VR-learningは、実際の作業現場を撮影して作成したVR教材によって臨場感ある現場教育を実現し、作業技能の習得や安全意識向上などを支援するシステムである。今回、VR教材のWebブラウザ再生に対応する機能を新しく搭載した。これによって、VRヘッドセットを持たない人も受講しやすくなった。

VR教材のブラウザ再生に対応[クリックして拡大] 出所:B-EN-G

 VR教材の撮影は市販の360度カメラで行える。このため、現場のレイアウト変更時や作業内容の改定時にもすぐに再撮影しやすい。撮影した映像をVR-learningに取り込むことで、複数のシーンを組み合わせたVR作業体験コンテンツを簡単に作成できる。主な用途としては、機械操作や設備点検などの作業訓練、危険な作業現場を想定した安全教育、遠隔地など訪問しづらい場所の現場体験などを想定する。

市販の360°カメラで撮影可能[クリックして拡大] 出所:B-EN-G

 また、VR-learning上では映像に説明文や画像、選択式の問題文などを追加することも可能だ。受講生はVR用のハンドツールを用いて問題文に自ら回答する他、指定の確認ポイントを逐次チェックしながら学習を進める必要があるため、自然と能動的なトレーニング体験が実現できるという。問題の採点結果などは管理者が後から確認することも可能で、受講者が持つ課題点の定量的な把握につなげやすい。

動画への説明、問題文追加なども容易にできる[クリックして拡大] 出所:B-EN-G

AIが自動で作業工程を分析

 Human-trackingは各種センサーやカメラを用いて作業者の位置情報などを取得することで、作業時間や動線の定量的な計測、評価を行いやすくするシステムである。今回、新たにAI(人工知能)による画像認識技術を導入したことで、カメラで撮影した動画から工程作業を分析して、事前設定した作業ごとの標準作業時間との差分を自動評価できるようになった。例えば、カーゴからコンベヤーに荷物を移す作業であれば、AIが動画を解析して「作業者がカーゴのそばに移動し」「荷物を取り」「コンベヤーに移動する」という各工程に分類して、それぞれに要した時間を測定し、標準作業時間と比較できる。

AIで作業工程を自動分析[クリックして拡大] 出所:B-EN-G

 計測に使用するセンサーやカメラの種類には、ビーコン、ネットワークカメラ、デプス(深度)カメラなどがある。これらを用いることで作業者の作業場所と滞在時間、移動回数などを経時的に計測する。これによって作業の無駄な待ち時間や、作業効率を悪くし得る場所移動の回数などを見える化し、対策しやすくする。

各種センサーやカメラで作業者の場所などを定量化[クリックして拡大] 出所:B-EN-G

 また、作業のサイクルタイムを取得することで、標準的な時間通りに作業が進んでいるかと個別に検証し、作業のばらつきの発見を容易にする。この他、作業者が主に請け負っている作業とは別の付帯作業(非定常作業)を発見、定量的に把握しやすくする効果も期待できる。

 B-EN-GはVR-learningとHuman-trackingを国内外でそれぞれ約30社に展開してきた。同社は今後3年間で、両製品合わせて100社への新規導入を目指すという。

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