日立がグローバルロジックとのシナジーで国内企業のDX支援へ、2022年度に開始製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

日立製作所は2021年7月に買収を完了した米国のデジタルエンジニアリングサービス企業であるグローバルロジックとのシナジー創出に向けた取り組みについて説明。日立の社内事業におけるグローバルロジックの活用成果を基に、2022年度から日立の協創拠点「Lumada Innovation Hub Tokyo」を用いた国内顧客向けのDX支援サービスの提供を始める。

» 2021年09月29日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
Hitachi Global Digital Holdingsの熊崎裕之氏 Hitachi Global Digital Holdingsの熊崎裕之氏

 日立製作所(以下、日立)は2021年9月28日、オンラインで会見を開き、同年7月に買収を完了した米国のデジタルエンジニアリングサービス企業であるグローバルロジック(GlobalLogic)とのシナジー創出に向けた取り組みについて説明した。現在は日立の社内事業におけるグローバルロジックの活用を進めており、この成果を基に、2022年度からJR東京駅直結の日立の協創拠点「Lumada Innovation Hub Tokyo」を用いた国内顧客向けのDX(デジタルトランスフォーメーション)支援サービスの提供を始める計画だ。

 グローバルロジックは2021年3月期の売上高が9億2800万米ドル(約1030億円)、調整後EBITDA(償却前営業利益)率が23.9%で、400社以上の顧客にデジタルエンジニアリングサービスを提供している。シリコンバレーで創業した同社だが、グローバルでのM&Aを続けてきたこともあり、北米と南米、欧州、インドなどに広く拠点を展開している。顧客のDXに向けた取り組み全体を構想するデザインスタジオは8カ所、その技術的な実装を推進するエンジニアリングセンターは30カ所、これら各拠点に勤める従業員数は22万人を超える。

グローバルロジックの概要グローバルロジックの拠点展開 グローバルロジックの概要(左)と拠点展開(右)[クリックで拡大] 出所:日立

 2021年7月の買収によりグローバルロジックは、日立のITセクターの下で日立ヴァンタラを統括するHitachi Global Digital Holdingsの傘下に入ることになる。2019年9月に日立コンサルティングと統合した日立ヴァンタラは、コンサルティングを起点とした経営支援ソリューション・サービスをはじめ、ITインフラ事業やデータ利活用事業などを一体運営する体制となっており、デジタルエンジニアリングサービスを提供するグローバルロジックと連携していくことになる。

日立のITセクター内におけるグローバルロジックの位置付け 日立のITセクター内におけるグローバルロジックの位置付け[クリックで拡大] 出所:日立

 Hitachi Global Digital Holdings Deputy CEO 兼 CSO 兼 日立ヴァンタラ CSOの熊崎(正しい漢字は右上の大が立)裕之氏は「グローバルロジックは、コア製品のデジタルによる強化や新たな収益源を生むビジネスモデル変革、コア製品を強める顧客接点の強化、as-a-serviceビジネスモデルによるサービス化、エコシステムでの協創など多層的なアプローチにより、ソフトウェアの力でビジネス価値を最大化できる点が大きな特徴になる」と語る。

グローバルロジックの強み多層的なアプローチ グローバルロジックの強み(左)と多層的なアプローチ(右)[クリックで拡大] 出所:日立

 グローバルロジックのサービスの採用顧客としては、ハンバーガーチェーンを展開するマクドナルド(McDonald's)のグローバルで統一したユーザー視点の顧客体験デザインや、旅行者と航空事業者との間で発生する煩雑な手続きを刷新し、スムーズな航空機の利用を実現する航空業界向けデジタルマーケットプレースを提供するStellerなどの事例がある。他にも「ニューヨーク拠点では電力会社や空港管理会社の採用事例の話があった」(熊崎氏)という。

マクドナルドの採用事例Stellerの採用事例 グローバルロジックのサービスの採用顧客。マクドナルド(左)とSteller(右)[クリックで拡大] 出所:日立
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