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» 2021年10月01日 15時00分 公開

日立グループがEV向けインホイールモーター、小型軽量化でパワー密度2.5kW/kg達成電気自動車

日立製作所と日立Astemo(アステモ)は2021年9月30日、ホイール内部にモーターとインバーター、ブレーキを収めたダイレクト駆動システム「Direct Electrified Wheel」を開発したと発表した。日立グループの鉄道やエレベーターなどモビリティ分野における技術開発や製品化の実績を生かし、小型軽量化を図った。

[齊藤由希,MONOist]

 日立製作所と日立Astemo(アステモ)は2021年9月30日、ホイール内部にモーターとインバーター、ブレーキを収めたダイレクト駆動システム「Direct Electrified Wheel」を開発したと発表した。日立グループの鉄道やエレベーターなどモビリティ分野における技術開発や製品化の実績を生かし、小型軽量化を図った。

開発したダイレクト駆動システムと、モックアップの車両での搭載イメージ[クリックで拡大] 出所:日立製作所

 開発品はSUVへの搭載や長距離の走行を想定して、19インチのホイールに収めた。最高出力は1基当たり60kW、4輪合計で240kWを発揮する。熱対策により19インチよりも小さいホイールにも収められる。パワー密度は2.5kW/kgで、ホイール内の重量は通常のホイールから3割増以下に抑制しながら高い駆動力を実現した。軽量化を図ることで、これまでインホイールモーターの課題とされてきた乗り心地も改善される。

 開発品をEV(電気自動車)に採用した場合、ドライブシャフトなどの間接機構をなくすことで既存のEVと比べてエネルギーロスを30%低減できるという。これにより同一の車格で比較した場合、走行距離を10〜20%伸ばすことが可能になるとしている。また、間接機構をなくしたことで、バッテリー搭載量を3割増やせる。

 日立製作所と日立Astemoは今後実用化に向けた研究を進める。現在、モーターやインバーターの部品単体での信頼性はめどがついているが、車両に搭載してランダムな振動やヒートサイクルが加わったときの複合的な影響について、時間をかけて検証していくという。また、絶縁などの長期間の信頼性についても検討する。

 また、日立Astemoは、開発品やこれまで培ってきた車両制御技術を生かしてEV向けの製品をより幅広いラインアップでグローバルに展開していく。

車載用でトップクラスのパワー密度

 パワー密度を「車載用で世界トップクラス」(日立)とするにあたっては、磁石の向きを90度ずつ回転させて並べる「ハルバッハ配列」とすることで、磁極ごとの有効磁束を増加させて駆動力を高めた。また、扁平なコイルを高密度に配列することで溶接スペースを削減してモーターを軽量化、パワー密度2.5kW/kgを達成した。モーターの駆動力を向上するには磁極数の増加が効果的だが、有効に使える磁束の割合が低下する他、コイルの溶接箇所と溶接スペースが増えるという課題があった。

 小型化には、インバーターとモーターを直接冷却できる油冷としたことも寄与した。インバーターを冷却した後、モーターに冷却油が循環する流路とした。パワー半導体もダイレクトに油冷で冷却する。水冷の場合は絶縁のためジャケットを設ける必要があり、小型化が難しかった。

 ホイールサイズの大きい乗用車だけでなく、シティーコミューターや軽自動車などの小型車への展開も視野に入れている。モーターやインバーターの小型化は日立製作所の得意分野。小型軽量化は二輪、鉄道、エレベーターなどさまざまな移動体に貢献する基本技術と位置付けている。

開発したダイレクト駆動システムの諸元[クリックで拡大] 出所:日立製作所

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