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» 2021年10月07日 14時00分 公開

蒸気加湿よりコスト約85%削減、霧を噴霧する独自技術搭載の二流体加湿器組み込み開発ニュース

東芝三菱電機産業システムは「第1回 脱炭素経営 EXPO 秋」において、圧縮空気による霧加湿方式で加湿する二流体加湿器「TMfog」を展示した。従来の蒸気加湿方式と比較すると、加湿コストを約85%削減できる。

[池谷翼,MONOist]

 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)は「第1回 脱炭素経営 EXPO 秋」(2021年9月29日〜10月1日、東京ビッグサイト)において、圧縮空気による霧加湿方式で加湿する二流体加湿器「TMfog」を展示した。従来の蒸気加湿方式と比較すると、加湿コストを約85%削減できる。

クリーンルームなどの加湿に最適

 TMfogは独自技術を搭載した二流体ノズルを用いて、微細な霧を噴霧する霧加湿方式を採用した加湿器だ。主な適用先としては、半導体製造工場のクリーンルームや、データセンター、製糸工場などを想定する。この他にも、シイタケやトマト栽培施設への納入が現時点で決定しているという。

TMfogの本体ユニット外観[クリックして拡大]

 機体サイズはノズルを含まない本体ユニットのみで500×200×1400mm、重量は40kg。最大噴霧量は毎時150kg。二流体ノズルの設置個数目安は1部屋あたり1〜40個程度で、導入する部屋の広さによって変わる。

 霧加湿方式は噴霧液(水)に何らかの方法で圧力をかけることで破砕し、霧状にするという加湿方式である。水を沸かして加湿する蒸気加湿方式と比較して、大幅にランニングコストを下げられる点が大きな特徴だ。蒸気加湿方式ではボイラーなどで水を沸かした後、加湿対象となる空間の空気条件を一定に保つため、水蒸気を一度冷却する必要がある。これに対して霧加湿方式は加熱や冷却の手間が掛からず、その分コストを下げられる。

 TMEICの資料では、水1l(リットル)当たりの加湿コストが蒸気加湿方式では約10.4円だが、霧加湿方式では約1.5円だと記載されている。蒸気加湿方式から霧加湿方式に切り替えた場合、コストを約85%削減できる計算になる。

 TMEICの説明員は「条件によって異なるため一概に言えないが、大規模な半導体のクリーンルームの場合、蒸気加湿方式のコストは年間で1億円程度に達する可能性もある。コスト削減効果は非常に大きい」と解説した。また、脱炭素という観点からは、霧加湿方式は蒸気加熱方式と異なりボイラーを使用しない分、CO2の削減効果が見込める点が大きな長所である。

独自技術で噴霧量を無段階調整可能に

 また、TMfogには3つの機能的特徴がある。

 1つ目は、TMEICが特許を取得した独自技術によって、噴霧量の無段階での比例制御を可能にした点だ。同説明員は「他社製品では噴霧を行うか、止めるかのどちらかしか選べないものがある。導入先の空調システムによっては、噴霧量の無段階調整が求められるケースも存在するため、これでは満足のいく加湿効果が得られない可能性もある。一方で、TMfogは出力を20%、50%、100%といった具合に段階的に制御できる。空気中の水分量に合わせて噴霧量を調整することで、水と電力のムダを抑えられる」と語った。

二流体ノズルの噴霧デモ[クリックして拡大]

 2つ目は、従来の二流体ノズルと比較して、使用時に必要になる圧縮空気の量を約3分の1に削減した点である。二流体ノズル自体は昔から存在する技術だが、圧縮空気の消費量が非常に多いため加湿器として使用するには大型のコンプレッサーが必要だった。電力消費量が多くコストがかさみやすいため、「実用性はあまり高いとはいえなかった」(同説明員)という。

 これに対してTMfogは必要になるコンプレッサーの容量と消費電力量をどちらも3分の1にまで減らすことに成功しており、加湿器としての十分な実用性を確保している。

 3つ目は粒子径を調整できる点だ。TMfogに採用した二流体ノズルは、対抗する2本の圧縮空気流で噴霧液を破砕する「省エネ二流体ノズル」である。この二流体ノズルには、単一のノズルで噴霧量と粒子径を自在にコントロールできるというメリットがある。

 粒子径は水粒の表面積の大きさに影響する。このため、サイズを変えることで水粒の蒸発までの時間や散布距離などを調整することが可能である。例えば、短距離間で霧を蒸発させ切る必要がある場合や、部屋全体に霧を行き渡らせる必要がある場合には、粒子径を小さくすれば対応しやすい。「さまざまな用途への適用可能性を開く、これまでなかった新原理のノズルだ」(同説明員)という。

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