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» 2021年10月08日 06時00分 公開

自律運航船の遠隔監視・操船を担う「フリートオペレーションセンター」に潜入!船も「CASE」(1/3 ページ)

海事企業など国内30社が参画する「Designing the Future of Full Autonomous Ship プロジェクト」の「フリートオペレーションセンター」が、2021年9月2日に竣工した。自律運航船の航行を主に遠隔監視と遠隔操船で支援する陸上拠点で、複数の自律運航船を遠隔監視できる「統合表示ブロック」と個別に遠隔操船できる「非常対応ブロック」で構成される。また、自律運航船に搭載する舶用機器とシステムの運用試験を陸上で実施できる想環境も用意した。

[長浜和也,MONOist]

 海事企業など国内30社が参画する「Designing the Future of Full Autonomous Ship プロジェクト」(以下、DFFASプロジェクト)の「フリートオペレーションセンター」が、2021年9月2日に竣工した。

 この施設は自律運航船の航行を主に遠隔監視と遠隔操船で支援する陸上拠点で、複数の自律運航船を遠隔監視できる「統合表示ブロック」と個別に遠隔操船できる「非常対応ブロック」で構成される。また、自律運航船に搭載する舶用機器とシステムの運用試験を陸上で実施できる想環境も用意した。

 DFFASプロジェクトでは、フリートオペレーションセンターの竣工に合わせて報道関係者に施設を公開して、DFFASプロジェクトの概要と開発を目指している自律運航船の遠隔監視システム、遠隔操船システムについて説明した。

DFFASプロジェクトとフリートオペレーションセンターの説明は日本海洋科学の桑原 悟氏が担当した。技術面だけでなく、日本郵船の船長職など長い海上勤務経験を生かしたユーザー視点からも自律運航船の開発に携わっている[クリックで拡大]

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 DFFASプロジェクトは、日本財団が現在進めている「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」(以下、MEGURI 2040)の一環として、2025年までに無人運航船の実現化を目指している。参画しているのは日本郵船グループ、NTTグループ、日本通運、ジャパン マリンユナイテッド、日本無線、古野電気、横川電子機器、ナブテスコ、EIZO、ウェザーニューズなど海運、造船、舶用機器、無線、移動体通信、海上保険、シンクタンクといったさまざまな業種から集まった国内30社だ(2021年9月時点)。

 DFFASプロジェクトでは2022年2月に既存のコンテナ専用船「すざく」(総トン数749総トン)を用いた無人運航船の模擬実船実証を予定しているが、今回竣工したフリートオペレーションセンターは、その実船実証における自律運航船の遠隔監視と遠隔操船の拠点として運用する。既に「すざく」へ搭載する予定の遠隔監視と遠隔操船、自律運航用舶用機器の陸上運用を含めた陸上統合試験などは数カ月前から始まっており、9月末からは順次船上への搭載工事に取り掛かる。

 なお、搭載にあたっては、改装工事にかかる手間と時間を短縮するために、自律運航に関わる“ほとんど”の機器を40フィートコンテナのスペースに収容しているので、そのコンテナ1基を船舶に積み込むだけで改装工事が“ほぼ”済むという。

ディスプレイを一面に配置した管制室のような「統合表示ブロック」

 フリートオペレーションセンターの統合表示ブロックは、5面の壁面ディスプレイと7面の机上ディスプレイで構成。壁面のディスプレイでは対象となる船舶を一覧で表示して監視する。中央に設けた大画面の統合表示ディスプレイではAISなどで取得した船舶の船名やサイズ、種類、位置情報、速度、針路、回頭率、目的地などを電子海図に重畳表示する他、航路計画の策定と航路の表示、データベースに蓄積された過去の航海における事故履歴(発生場所や事故内容など)の表示なども可能だ。

フリートオペレーションセンターに用意された統合表示ブロック(左)。壁面ディスプレイでは、監視対象の船舶全体に対して電子海図上に航行関連情報を表示する他、錨泊(びょうはく)、係留、岸壁衝突リスクや航海の経済性評価も把握できる(右)[クリックで拡大]
壁面中央のディスプレイでは、電子海図にAISなどで取得した位置や針路、速度などの航行情報の他、風向風速、潮流などの海象情報も表示して航行状況全般を把握できる(左)。さらにデータベースに保存されている過去の事故履歴も参照可能だ(中央)。
事故履歴は発生した場所と内容をアイコンで把握できる。加えて、発生した日付、天候、風速、波高も確認できる。このように履歴を蓄積していくことで「事故の発生しやすい海域」を特定でき、そのエリアを回避することで事故発生リスクを低減できる(右)[クリックで拡大]
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