宇宙環境で動作可能な高電圧リレー、水星探査ミッションに搭載宇宙開発

TE Connectivityの高電圧リレー「KILOVAC K41R」が、水星探査計画「BepiColombo」の水星移動モジュールに搭載された。真空誘電体を使用した高電圧リレーで、高出力電気推進システムに使用している。

» 2021年10月21日 08時00分 公開
[MONOist]

 TE Connectivityは2021年10月6日(現地時間)、同社の高電圧リレー「KILOVAC K41R」が、水星探査計画「BepiColombo(ベピコロンボ)」の水星移動モジュール(軌道間輸送機)に搭載されたことを発表した。真空誘電体を使用した高電圧リレーで、高出力電気推進システムに使用している。

キャプション 高電圧リレー「KILOVAC K41R」[クリックで拡大] 出所:TE Connectivity

 KILOVAC K41Rは、探査機の姿勢、方向、速度を制御するための電気推進に必要な低電圧と高電圧の電力分配に携わる部品だ。長さは2.5インチ(約6.35cm)、重さは1オンス(約28g)で、機械的寿命は100万回、動作速度は6ミリ秒。高電圧を扱いつつ、宇宙環境の過酷な条件で動作できるため、探査機の電気推進に必要な電力分配に対応する。

 高電圧リレーの「KILOVAC」は、1970年代の月面着陸装置をはじめ、ISS(国際宇宙ステーション)やNASAの火星探査ローバー「キュリオシティ」など、さまざまな宇宙ミッションにおいて実績を上げている。

 BepiColombo計画は、ESA(欧州宇宙機関)とJAXA(宇宙航空研究開発機構)の共同ミッション。2018年に打ち上げられた探査機は、2021年10月1日に1回目の水星フライバイを実施した。計6回のフライバイの後、2025年12月5日までに水星に到着する予定だ。水星表面探査機と水星磁気圏探査機の2つの惑星探査機が水星移動モジュールで水星軌道に運ばれ、太陽系惑星の中で最小の水星を多角的かつ総合的に観測する。

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