NVIDIAが「Isaac ROS」を発表、ROSロボットへのAI認識機能の実装を容易にロボット開発ニュース

NVIDIAは、オープンソースソフトウェアのロボット開発プラットフォーム「ROS」の開発者向けに、同社のロボット開発プラットフォーム「NVIDIA Isaac」と連携することでAI(人工知能)による認識機能を容易に実装できるようにする「NVIDIA Isaac ROS」を発表した。

» 2021年10月25日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 NVIDIAは2021年10月22日、オープンソースソフトウェアのロボット開発プラットフォーム「ROS」の開発者向けに、同社のロボット開発プラットフォーム「NVIDIA Isaac」と連携することでAI(人工知能)による認識機能を容易に実装できるようにする「NVIDIA Isaac ROS」を発表した。

 Isaac ROSは、ROSで制御するロボットに組み込むAI認識機能に当たる「Isaac GEM」とROS2ノードのインタフェースだ。発表文で示されているブロックダイヤグラムでは、Isaac ROSとIsaac GEMが並べられており「Isaac ROS GEMs」という表現も用いられていることから、一体で利用するものと考えてよさそうだ。

NVIDIAの「Isaac ROS」と「Isaac GEM」のブロックダイヤグラム NVIDIAの「Isaac ROS」と「Isaac GEM」のブロックダイヤグラム[クリックで拡大] 出所:NVIDIA

 Isaac GEMには、画像処理(Image Processing)やコンピュータビジョン(CV)、NVIDIAのGPUや組み込みコンピュータボード「Jetson」向けに最適化された深層学習(DNN)ベースのアルゴリズムが含まれている。主なものとしては「Stereo Visual Odometry」と「DNN Inference」がある。

 Stereo Visual Odometryは、ロボットが自律的に環境内を動き回るときに必要な自己位置認識(Visual Odometry)を行うためのものだ。ステレオカメラを用いたリアルタイムの自己位置認識ソリューションであり高い精度を実現できる。例えば、組み込みボードの「Jetson AGX Xavier」を用いた場合、HD解像度(1280×720画素)のSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)を60fps以上の処理速度で実行できるようになるという。

 一方、DNN Inferenceでは、NVIDIAがクラウドで提供しているコンテナアプリケーションサービス「NGC」で提供されているさまざまな推論モデルを利用できるだけでなく、自身で開発したDNNベースの推論モデルも利用できるようになる。なお、推論モデルの調整やカスタマイズは「NVIDIA TAO Toolkit」で行う。また、DNN Inferenceは、画像セグメンテーション用のネットワークである「U-Net」や「DOPE(Deep Object Pose Estimation)」にもネイティブで対応している。

 なお、Isaac ROSはGitHubで公開されている

 またNVIDIAは、Isaacのシミュレーション環境である「NVIDIA Isaac Sim」の一般提供を2021年11月に開始することも発表した。

 新バージョンとなる「2021.2」では、処理性能の向上やメモリ使用量の削減、立ち上げ時間の短縮などが図られている。確率値を使用した占有マップの作成や、ROSで用いられているURDF(Unified Robot Description Format)のインポーターなどの改良も図った。新しいロボット環境として、大型の倉庫、オフィス、病院を追加した。また、さまざまな環境でのロボットの動作を試せるように、ロボットの周辺環境を合成するためのデータ生成ワークフローも用意している。

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