プリウスPHVで初採用したソーラールーフは「bZ4X」が継承、年間で1800km分の発電自動車業界の1週間を振り返る(1/2 ページ)

1週間おつかれさまでした。土曜日ですね。Facebookが社名を「Meta」に変更して話題になっています。Metaは、3D CGの仮想空間を指す「メタバース」に由来します。創業からの事業でもある社名から、これから広げる事業であるメタバースを新たな社名とするのですから、とても攻めた社名変更ですね。

» 2021年10月30日 08時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 1週間おつかれさまでした。土曜日ですね。Facebookが社名を「Meta」に変更して話題になっています。Metaは、3D CGの仮想空間を指す「メタバース」に由来します。創業からの事業でもある社名から、これから広げる事業であるメタバースを新たな社名とするのですから、とても攻めた社名変更ですね。

 私が初めてメタバースという言葉を聞いたのは、日産自動車の取り組みでした。日産は2019年の消費者向けエレクトロニクス展示会「CES」で、「Invisible-to-Visible (I2V)」という将来の技術を発表しました。見えないものを可視化するというコンセプトで、運転席からは見えない建物の裏側やカーブの先を見えるようにしたり、仮想世界で活動する家族や友人、プロドライバー、観光ガイドが同乗しているかのようにAR(拡張現実)のアバターとして見せたりします。

 CES以外の取材でも、クルマとメタバースの関わりについて聞く機会はありましたが、正直に言うと全くピンと来ませんでした。昔から「セカンドライフ」とか「アメーバピグ」みたいなものが盛り上がっては廃れてきたよなあ、とぼんやり考えた程度です。今はまだない、全く新しいものを見せられたときに、柔軟に感度よく反応できない自分自身を残念に思いました。

 コロナ禍では、人と会えない(会いたいと言いづらい)状況が長く続いたので、あたかも一緒にいるかのように過ごせることの価値は大きいと思います。動画配信サービスも、同じ映画を一緒に見るための機能を提供していますよね。バーチャルな旅行や、アバターロボットによって離れた場所で活動する提案なども、コロナ禍を受けて活発になった印象です。

 しかし、実際に出かけたり会いに行ったりせずに人々が満たされてしまうと、自動車にはピンチです。リアルの価値を守り続けなければなりませんが、通信環境やCG技術は大きく向上し、バーチャルならではの価値があるのも事実です。バーチャルを無視するわけにはいきません。リアルの価値、バーチャルの価値をバランスよく追い求めなければなりませんね。

「bZ4X」の走行距離は500kmに

 さて、今週は新型車のニュースがたくさんありました。一番の注目は、トヨタ自動車のEV(電気自動車)、「bZ4X」でしょうか。すでに、bZ4Xをスバルと共同開発すること、「bZシリーズ」の7車種を含め、EV15車種をグローバルで2025年までに展開することなどが発表されています。今回はクルマに採用する技術や諸元値など詳細が公開されました。

bZ4Xの外観デザイン[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 まずは諸元値を見てみましょう。FWDモデルの場合(もちろん4WDモデルもあります)、満充電での走行距離はWLTCモードで500km前後です。外形寸法は全長4690×全幅1860×全高1650mmで、「ハリアー」と全幅や全高が同等、全長が50mmほど短いです。しかし、ホイールベースは「ランドクルーザー」並みの2850mmです。室内空間を広くとれるのはEVの1つの強みですね。71.4kWhのバッテリーを搭載した状態で、車両重量はFWDモデルで1920kgです。

 FWDモデルと4WDモデルの違いも興味深いです。FWDモデルはフロントに最大出力150kWのモーターを搭載していますが、4WDモデルは前後に最高出力80kWのモーターを搭載してシステムとして160kWの出力となります。走って比べてみたいですね。

 「トヨタ初」の技術も満載です。そもそもEV専用プラットフォーム自体が初採用ですし、スバルのAWD技術「X-MODE」もトヨタ車としては初めて採用します。電動車特有の新技術としては、モーターとトランスアクスル、インバーターを一体化したe-Axle(Eアクスル)や、充電機能と電力分配機能を集約したElectricity Supply Unit(ESU)があります。暖房には前席乗員足元の輻射ヒーターを採用します。こたつのようで、暖かそうです。

 また、ステアリングとタイヤの間にメカ的な結合がないステアバイワイヤシステムや、レースカーのような異形ステアリングは、保守的なイメージの強いトヨタの量販車としては挑戦的な試みなのではないでしょうか。

異形ステアリングとトップマウントメーター。従来と同じ円形のステアリングも用意されています[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 ステアリングシステムについて、プレスリリースには「ステアリングの回転角度を持ち替え不要な約±150度に設定。Uターンや車庫入れ、ワインディングロード走行時などでドライバーの負荷を大きく低減」「ドライバーが感じる操舵トルクと、タイヤの転舵角度を独立に制御することにより、操舵感を向上。ドライブモードセレクトと連動し、ステアリング特性を変更」とあります。これまでのクルマとはかなり違う操作感になりそうですね。乗ったときに新しさとして好意的に受け止められるか、慣れるまで違和感が大きいのか、ぜひ乗ってみたいですね。

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