設計変更でエラーが起きにくいモデリング方法とは?テルえもんの3Dモノづくり相談所(5)(1/3 ページ)

連載「テルえもんの3Dモノづくり相談所」では、3Dモノづくりを実践する上で直面する“よくある課題”にフォーカスし、その解決策や必要な考え方などについて、筆者の経験や知見を基に詳しく解説する。第5回のテーマは「設計変更でエラーが起きにくいモデリング方法」だ。

» 2021年11月24日 11時00分 公開

 皆さん、こんにちは! “テルえもん”こと、小原照記です。本連載「テルえもんの3Dモノづくり相談所」では、3Dモノづくりを実践する上で直面する“よくある課題”にフォーカスし、その解決策や必要な考え方などについて、筆者の経験や知見を基に詳しく解説していきます。

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 それでは早速、今回のテーマを見ていきましょう。

今回のテーマ:相談ファイル(5)

設計変更でエラーが起きにくいモデリング方法はありますか?

テルえもんの対応

 前回は「3D CADで設計変更していたらエラーが発生して先に進めない!?」というテーマで、3D CADで設計変更した際に発生するエラーの原因と対処法について解説しました。

 では、そもそもエラーが起きにくいようにするには、どうしたらよいのでしょうか?

 ヒストリー型のパラメトリックモデリングの3D CADでは、作業した履歴が保存され、入力したパラメータの値を変更することで設計変更が行えます。そのため、形状を作成していく上で、どこの点や線、面、ボディとリンクを付けていくかが重要となってきます。

 例えば、図1のようにプレートの上に円柱形状を作成する際、設計上どこから何mmの高さが必要なのかによって、どの面にスケッチを描いて押し出して立体化するのかが変わってきます。

プレートの上に円柱形状を作成する場合の違い 図1 プレートの上に円柱形状を作成する場合の違い[クリックで拡大]

 図1のAとBで、なぜ違いが生まれるのでしょうか。まずAの場合、上部の円柱(子)のベースとなるスケッチがプレート(親)上面に描かれているため、スケッチ面をZ方向に移動してプレート形状の厚みを増した場合、それに追従するように円柱のスケッチも動き、上部円柱は同じ形状のまま上に押し上げられます。

 一方、Bの場合、プレート底面に円柱のベースとなるスケッチが作成されているため、Aと同じようにプレート上面をZ方向に移動してプレート形状の厚みを増した場合、円柱形状の大部分がプレート形状で隠れてしまい、Aと同じ結果にはなりません。

 このように、ヒストリー型のパラメトリックモデリングの3D CADでは、参照要素の選択が設計変更時の重要なキーとなります。

エラーが起きにくいモデリング方法

 前回、“参照要素が不明となるためにエラーが発生する”ことを説明しました。参照している線や面が削除されてなくなってしまったり、パラメータ値の変更によって参照したものにエラーが起きたりすると芋づる式にエラーが連動してしまいます。そのため、エラーが出る可能性があるような形状、要素とは参照関係を作らないことです。できるだけ芋づる式にしないことが重要です。

芋づる式にエラーが連動してしまうことも…… 図2 芋づる式にエラーが連動してしまうことも……

 以降で、もう少し具体的な対処法について見ていきます。

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