中長期視点で事業の種を育てる企業に、パナくらし事業本部 CEOの品田氏製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

パナソニック くらし事業本部は2021年11月26日、報道陣による同社 くらし事業本部長 CEO 品田正弘氏への合同取材に応じ、パナソニックが2022年4月に予定している持ち株会社移行後の成長戦略などをテーマに説明を行った。

» 2021年12月08日 14時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 パナソニック くらし事業本部は2021年11月26日、報道陣による同社 くらし事業本部長 CEO 品田正弘氏への合同取材に応じ、パナソニックが2022年4月に予定している持ち株会社移行後の成長戦略などをテーマに説明を行った。

短期的ではない、長期的視点に根差した経営へ

同社 くらし事業本部長 CEO 品田正弘氏

 パナソニック くらし事業本部は2021年10月1日に発足した事業体で、中国・北東アジア社、くらしアプライアンス社、空質空調社、コールドチェーンソリューションズ社、エレクトリックワークス社など家電や空調、業務機器などを手掛ける事業会社を中核とする。パナソニックは2022年4月に持ち株会社制への移行を発表しており、移行後はパナソニック くらし事業本部が「パナソニック」の社名を引き継ぐことになる。

 このことから品田氏はパナソニック くらし事業本部を「新・パナソニック」と呼んでおり、以下本稿でもこれに倣う。2021年見通しで3兆6400億円、関係会社数は179社で、従業員数はグローバル全体で約8万8000人である。所在地は東京都港区のパナソニック東京汐留ビルとなる。

新・パナソニックの組織体制[クリックして拡大] 出所:パナソニック

 新・パナソニックの経営方針について、品田氏は「未来起点」と「人起点」に基づく企業価値経営を進めていくと語った。未来起点とはミッションやビジョンに基づく長期的視点に基づいた経営の進め方であり、人起点とはパナソニックグループの従業員全体の働きがいと誇りを最大化する取り組みを意味する。品田氏は「これまでのパナソニックは短期視点での経営になりがちだった。社会的価値と経済的価値の創出を共に追いながら、目指すべき未来を実現できるように取り組みたい」と説明する。

開製販一体の体制に移行

 また、持ち株会社制移行後の新・パナソニックでの事業改革については、「顧客価値の創出」「オペレーショナルエクセレンスの追求」「成長事業への経営資源の集中」の3つを軸に展開すると語った。これらを実現するために、経営システムと人事の仕組みについても改革を進める。

新・パナソニックの3つの変革軸[クリックして拡大] 出所:パナソニック

 顧客価値の創出については、新・パナソニック内での技術開発体制の改革と顧客接点の創出という2点に取り組んでいく。品田氏は技術開発体制について従来のバケツリレー型の開発方式から「マイクロエンタープライズ制(ME制)」への移行を進めると説明した。

 ME制は新製品開発に関わる商品企画、開発、製造、マーケティングなどの各部門から数人ずつ集めたチームを編成し、新商品コンセプトの構築から市場導入、将来の収益化などに一体となって取り組むという開発方式である。品田氏は「製品のライフステージも市場環境も時代と共に変化しているが、当社では開発/製造/販売が分離した開発体制が続いていた。より市場ニーズに合致した製品を迅速に世に出すために、ME制導入を進めることにした」と導入の意義を語る。

ME制の導入を進める[クリックして拡大] 出所:パナソニック

 既に、2021年10月から冷蔵庫や食洗器、電子レンジ、炊飯器、IHクッキング、オーラルケア、ヘアケア、クリーナー、(衣類)乾燥機など9種類の白物家電の開発においてME制を適用している。導入効果としては「製品開発に参加するチームメンバーの熱量が目に見えて上がっている」(品田氏)といった効果を実感しているという。

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