「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像

ステランティスとフォックスコンが半導体を共同開発、グループ需要の8割をカバー車載ソフトウェア

ステランティスは2021年12月7日、コネクテッドカーに関するソフトウェア戦略を発表した。コネクテッドカー関連で、2030年までに年間200億ユーロの売り上げ拡大を目指す。

» 2021年12月08日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 ステランティスは2021年12月7日、コネクテッドカーに関するソフトウェア戦略を発表した。コネクテッドカー関連で、2030年までに年間200億ユーロの売り上げ拡大を目指す。

 2030年に収益化できるコネクテッドカーが3400万台に上ると見込む。そのため、2024年までに新車の大部分を無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)可能な状態にする。2026年にはコネクテッドカーが2600万台に拡大し、40億ユーロの収益を見込む。少なくとも四半期ごとにソフトウェアをリリースする。コネクテッドカーが収益化可能な期間は、新車として販売されてから5年間と設定している。

 2025年までに300億ユーロ以上を投資し、ソフトウェア開発に注力する。また、2024年までに4500人のソフトウェアエンジニアを社内で育成する。人材教育のための「ソフトウェアアカデミー」も立ち上げる。BMWやフォックスコン、ウェイモなどとの戦略的パートナーシップも活用する。

2024年に3つのプラットフォームが登場

 2024年に製品化する3つのソフトウェアプラットフォーム「STLA Brain」「STLA SmartCockpit」「STLA AutoDrive」を発表した。これらのプラットフォームは、小型車からフレーム車までの4つの車台に搭載する。

ステランティスのプラットフォーム計画[クリックで拡大] 出所:ステランティス

 ソフトウェアプラットフォームの構築に当たって、フォックスコンとステランティス向けに専用の半導体を設計することで合意した。ステランティスが必要とする半導体の80%以上をカバーする4つのチップファミリを開発する。ステランティスグループの車両に搭載するのは2024年だという。

 STLA Brainはクラウドと統合されたサービス指向のアーキテクチャであり、車内のECU(電子制御ユニット)とセントラルコンピュータを高速データバスで接続する。ハードウェアとソフトウェアの従来のような結び付きをなくし、ソフトウェア開発者がハードウェアを待たずに機能やサービスを開発できるようにする。そして、OTAによって更新し続けることで、車両の価値を高める。フォックスコンと協力し、STLA Brainには最先端の半導体技術を取り入れるとしている。

 STLA SmartCockpitはSTLA Brainの上に構築され、スマートフォンなど乗員の持っているデジタル機器とシームレスに統合し、カスタマイズ可能な「第3のリビング」を実現するという。フォックスコンとの合弁会社で開発したナビゲーションシステム、音声アシスタント、Eコマースのマーケットプレース、決済サービスなども搭載される。

 STLA AutoDriveはBMWとの提携によって開発する自動運転システムだ。レベル2からレベル3までに対応し、OTAによって継続的に機能を更新する。

今回発表した3つのソフトウェアプラットフォームの関わり[クリックで拡大] 出所:ステランティス

 ウェイモとは自動運転車の開発で協力してきた。クライスラーの車両にウェイモの自動運転システムを搭載し、米国アリゾナ州において数千回に及ぶ配車で完全自動走行を実現させてきた。今後、配車サービスだけでなく、配送でもパートナーシップを結ぶ。2022年に、ステランティスの電動小型商用車のプロトタイプを提供し、自動運転による配送に取り組む。

→その他の「車載ソフトウェア」関連記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.