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不良発生の瞬間をつかまえる測定技術を検討しよう品質改善の王道を行こう(4)(2/3 ページ)

モノづくり現場で発生している品質不良を改善し、不良率半減を目指そう。品質改善のツールはあくまでもツールであって、それに振り回されてはいけない。本連載は品質改善コンサルタントによる品質改善の王道を解説する。

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プログラム4-5 慢性不良のメカニズム

 「なぜ5回、真因を追究せよ」という改善キーワードがあります。不良やチョコ停といった問題における真の原因について、“なぜ”を繰り返して追究していけば必ず改善できるという意味です。5回にこだわる必要はありませんが、2〜3回で終わらせずに、“なぜ”を徹底的に繰り返す執念が大切です。

 さて前回、改善事例として、パイプの内圧試験割れを紹介しました。その事例に「なぜ5回」を当てはめてみましょう。

(1)なぜ内圧試験でパイプが割れるのだろう?

 最初は「パイプの肉厚が薄いから」と考えました。

 しかし3現観察法を実施したところ、この仮説は間違いであることに気付きました“なぜ”の答えを間違えることは改善の過程ではよくあることですから、気にしたり、恥ずかしがったりする必要はありません。

 答えは「パイプの肉厚がバラついており、肉厚の薄い個所が割れるから」に修正しました。

 一般論ですが、パイプの肉厚が薄いから厚くしよう(平均の問題)よりは、パイプの肉厚が厚かったり薄かったりする(バラツキの問題)ことを改善した方が解決につながることが多いです。バラツキに着目することがポイントです(あくまで一般的な傾向です)。

図1 平均とバラツキのヒストグラム
図1 平均とバラツキのヒストグラム

(2)なぜ、パイプの肉厚がバラつくのだろう?

 それは「パイプの肉厚が、長手方向に波打っている」からです。

(3)なぜパイプの肉厚が、長手方向に波打っているのだろう?

 それは「……」と続きます。

 「なぜ5回、真因を追究せよ」というのは、すなわち慢性不良発生のメカニズムを立証することと同じです。なぜ慢性不良が発生しているのか、仮説を立て、それを検証していく過程で、真因を見つけていきます。

 慢性不良のメカニズムの立証方法は次の3ステップです。これを繰り返します。

  • 仮説の発想:原因候補を洗い出します。ブレインストーミングで行うとよいでしょう
  • 仮説の設定:抽出した原因候補の中から、真の原因である可能性の高いものを絞り込みます
  • 仮説の検証:本当に真の原因になっているか否かを小実験によりさらに絞り込んでいきます

【参考】ブレインストーミング4つのルール

判断禁止 出されたアイデアに対して、良しあしをいってはならない

自由奔放 自由で愉快な雰囲気で行う

多量なアイデア アイデアの質を求めるのではなく、量を求める

結合の改善 ほかのアイデアをさらに良くしたり、結び付けたりする



 慢性不良発生のメカニズムを立証せよといわれるとひるむかもしれませんが、3現観察法と測定技術の検討をしっかりとやれば、簡単に慢性不良のメカニズムが分かるはずです。プログラム上は、

プログラム4-3 3現観察法

プログラム4-4 測定技術検討

プログラム4-5 慢性不良のメカニズム

と順番に提示しましたが、並行して取り組んでも構いませんし、慢性不良発生のメカニズムを先に考えることで、3現観察法や測定技術検討の視点に気付くこともあります。

図2 要因解析プログラムの関係
図2 要因解析プログラムの関係

 ここまでの現状実態分析と3現観察法、測定技術検討によりいままで気付かなかった「未知の要因」が見えてきます。そして、なぜ5回を繰り返して、慢性不良のメカニズムが論理的に構築できれば、改善の方向性が分かってきます。

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