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いまさら聞けない 3Dプリンタ入門デジタルモノづくり基礎解説(1/3 ページ)

「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。

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 3Dプリンタってどんな装置? どのような種類(造形方式)があるの? 3Dプリンタに関する基礎のキソを分かりやすく解説します。

3Dプリンタとは?

 皆さん、はじめまして。日本のサブカルチャーの聖地である中野ブロードウェイで、「あッ3Dプリンター屋だ!! 東京メイカー×ストーンスープ」(以下、あッ3Dプリンター屋だ!!)の店長を務めている東京メイカーの中村翼と申します。

 このユニークな名前のお店ですが、3Dモデリングを専門とするストーンスープと、3Dプリンタの可能性を探る東京メイカーが共同運営している「日本初、みんなの3Dプリンタ屋」です。中野ブロードウェイの地下1階にある店舗スペースで、複数のパーソナル(個人向け)3Dプリンタを開放し、お客さま参加型のサービスを展開しています(画像1)。

あッ3Dプリンター屋だ!!
画像1 中野ブロードウェイにある「あッ3Dプリンター屋だ!! 東京メイカー×ストーンスープ」の外観

 そんなお店を任されている筆者が、今回、3Dプリンタについて、一般の方でも理解できるよう分かりやすく解説していきます。

3Dプリンタの基礎を解説!

 今話題の3Dプリンタについて、皆さんはどのくらいご存じでしょうか?

あッ3Dプリンター屋だ!! の陳列
画像2 あッ3Dプリンター屋だ!! の店頭ではたくさんのパーソナル3Dプリンタが並べられている

 3Dプリンタの話題は、多くのメディアで報道されていますが、一般の方の場合、「名前は知っているけど、正直よく分からない」、あるいは「何となく分かるけど、聞かれると困る(詳しくは分からない)」という方がほとんどだと思います。あッ3Dプリンター屋だ!! では、複数のメーカーから発売されているパーソナル3Dプリンタを5機種6台設置していますが、実際「初めて見た!」という方が多くいらっしゃいます(画像2)。そういった声から分かる通り、話題性の割に、3Dプリンタについて深く理解している人はまだ少数だと思います。

 というわけで、本稿では、一般の方(例えば、主婦の方)にできるだけ理解してもらえるよう表現や説明を簡略化している部分があります。また、3Dプリンタの基礎解説が中心であるため、今回は3Dデータ(STLやOBJなどのファイル形式)に関する解説は割愛しています。あらかじめご了承ください。


3Dプリンタとはどんな装置か?

 さて、ここであらためて質問です。3Dプリンタとはどんな装置でしょうか?

 ものすごく簡単に言うと、「立体物の3Dデータを渡すと、それが実際に手で触れられる“モノ”として出力される装置」のことです。3Dプリンタといってもその種類や造形方式に違いがありますが、現段階ではそのようにお考えください。

 では、3Dプリンタを使うとどのようなことができるのか、どんな特徴・メリットがあるのかを見ていきましょう。

オリジナルのクッキー型
画像3 世界に1つしかないオリジナルのクッキー型も作れてしまう

 3Dプリンタであれば、世界でたった1つの“オンリーワン製品(オリジナル作品)”を比較的簡単に作ることが可能です。自分の欲しい形を3D CADなどのモデリングツールでデザインし、3Dプリンタで出力するだけでオリジナル製品を手にすることができます。画像3は、クッキーの押し型です。このように、既製品にはない、自分の好きな形をデザインし、気軽にアウトプットできる点が3Dプリンタの魅力の1つといえます。


「ちぇんけーす」
画像4 iPhoneケース「ちぇんけーす」

 また、従来の金型などでは実現できないような“複雑な形状”を作ることができるのも3Dプリンタの利点です。例えば、あッ3Dプリンター屋だ!! で実際に販売しているiPhoneケース「ちぇんけーす」のような、小さなパーツが1つ1つ網状に組み合わさったようなものは、金型で実現するのが難しい形状で、3Dプリンタだからこそ実現できるのです(画像4)。

 そして、金型ではなく、デジタルデータから実際のモノが作れるという点も見逃せません。データ(ファイル)として存在しますので、コピー機のように複製が簡単にできるだけでなく、大きさや色なども自由に変更できます。もちろん、元となる3Dデータを作るためには、3D CADなどのモデリングツールを使いこなす専門知識やノウハウが必要ですが、最近では「Thingiverse」や「3Dモデラボ」のように、無料で3DデータをダウンロードできるWebサービスなども世の中に存在しており、誰でも3Dプリントを楽しめる環境が徐々に整いつつあります。

 こうした特徴からもお分かりの通り、3Dプリンタは、少量多品種のモノづくり(いわゆる一点モノ)や製品開発におけるデザイン確認/試作などに適しており、製造現場におけるモノづくりを効率化(革新)する存在として期待されています。そして、昨今では個人向けのパーソナル3Dプリンタの低価格化も進んでおり、DIYやホビー用途などでの活用も広がりつつあるのです。

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