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いまさら聞けないPROFINET入門産業用ネットワーク技術解説(1/5 ページ)

イーサネットベースの産業用ネットワークである「PROFINET(プロフィネット)」をご存じでしょうか。工場の高度化が進む中、工場ネットワークのオープン化は加速しており、オープンネットワークであるPROFINETの利用範囲は拡大を続けています。本稿では、PROFINETとは何かを分かりやすく解説し、その強みに迫ります。

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 「PROFINET(プロフィネット)」は世界で最も普及しているイーサネット(Ethernet)ベースの産業用ネットワークです。工場内のオープンネットワーク化が求められる中、普及が広がりを見せています。PROFINETを使うと、工場のフィールド機器、コントローラー間で高速かつ確実にデータ交換が行えます。オフィスで利用されているイーサネットとも共存できることが特徴です。また、安全信号も転送でき、ワイヤレスでも利用できます。本稿では、PROFINETとは何かを分かりやすく紹介し、その強みに迫ります。



PROFINET規格の運営

 PROFINETは、ドイツのカールスルーエに本部を置くPI(PROFIBUS&PROFINET International)によって規定・管理されている産業用イーサネットです。PIでは総出荷台数4740万台(2013年時点)を超えるPROFIBUS、年30%成長のPROFINETおよびIO-Linkの技術を管理しています。

 現在27カ国にあるRPA(Regional PI Association;各国協会)のいずれかの会員になることでPROFINETに関わる技術を無償使用でき、対応機器の開発・販売が行えます。RPAの会員は世界で1400社を超え、日本国内でも100社を超えています。

PROFINETの誕生背景

 オートメーション分野では、センサーやバルブなどの現場機器を接続するフィールドバスであるPROFIBUSが長くマーケットリーダーとして君臨してきました。PROFIBUSはファクトリーオートメーション(FA)とプロセスオートメーション(PA)の双方をカバーする唯一のフィールドバスで、多くの機器が市場に投入され、現在でも成長を続けています。

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図1:産業用ネットワークの全体像(クリックで拡大)※出典:シーメンス

 近年のオートメーション分野では、オフィスで活用されているITが生産管理データをはじめとする上位通信に浸透してきていることが特徴です。オートメーション全体で見ると、現在、産業用イーサネットとオフィスの標準イーサネット(TCP/IPなどのIT技術で育ったプロトコル)が半分ずつを分かち合っています。

 このような背景の中、標準ITと共存するネットワークの重要性が高まり、PROFIBUSをイーサネットベースにしたPROFINETが開発されたのです。PROFINETはオープンな標準規格であるため、ベンダー独自仕様のプロファイルに比べ、長期寿命、互換性、および拡張性を確保し、将来にわたってユーザーの資産を保護することが可能だといえます。さらに、上位通信レベルで使われている既設の標準イーサネットにもPROFINET機器を接続できます。つまり通信の階層によらずフィールド機器、コントローラーなどの接続が自由に行えるため、シームレスに省配線システムを実現できるというわけです。

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