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太ると中性脂肪が高くなるのはなぜなのか医療技術ニュース

東北大学は、太るにつれて中性脂肪が高くなるメカニズムを解明したと発表した。肝臓でアミノ酸が増加すると、それが自律神経を通じて脳に伝わり、血中の中性脂肪を分解する酵素LPLを減らすように指令が発せられるという。

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 東北大学は2015年8月17日、太るにつれて、中性脂肪が高くなるメカニズムを解明したと発表した。同研究は、同大大学院医学系研究科/東北大学病院糖尿病代謝科の片桐秀樹教授、宇野健司助教らのグループによるもので、8月13日付の国際専門誌「Nature Communications」に掲載された。

 過食などの生活習慣に基づく肥満は、脂質代謝異常(血中中性脂肪上昇)・糖尿病・高血圧の三大病態を併発しやすく、まとめてメタボリックシンドロームという1つの症候群と考えられている。メタボリックシンドロームは、動脈硬化発症につながることから、患者数の急増など、医学的・社会的に大きな問題となっている。

 同研究グループはこれまで、全身の糖代謝やエネルギー代謝の調節に、脳が制御する自律神経系のメカニズムが重要であることを発見。糖尿病や肥満の発症機序の解明を進めてきた。今回、肥満状況において、血中の中性脂肪が高値を示すと同時に、肝臓でのアミノ酸量が増加することに着目。肥満させずに肝臓へのアミノ酸流入だけを増加させたマウスを用いて、全身の代謝の変化を検討したところ、肥満時のように血中の中性脂肪が高値となった。

 また、肝臓でのアミノ酸増加に応じた栄養過多の情報が、自律神経を通じて脳に伝わり、脳から神経を通じて血中の中性脂肪を分解する酵素LPL(リポ蛋白リパーゼ)を減らすように指令が発せられた。その結果、血中で中性脂肪が分解できず、中性脂肪の上昇につながるというメカニズムが解明した。

 一方で、これを遮断すると、肥満させても血中中性脂肪の上昇が抑えられた。これらの結果から同メカニズムは、肥満時の中性脂肪上昇の発症機序に関わることが明らかとなった。

 今回の成果は、肝臓が栄養センサーとして働き、脳を含めた神経系が全身の脂肪代謝をダイナミックに調節していることを明らかにしたものとなる。また、同メカニズムが、メタボリックシンドロームの兆候の1つである血中中性脂肪上昇の発症機序に関わるため、新たな治療法・予防法の開発につながることが期待されるとしている。

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脳を介した血中の中性脂肪の分解を抑えるシステム

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