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なぜNECは「製造業×IoT」に全力を振り切れたのか製造業×IoT キーマンインタビュー(1/3 ページ)

IoTがもたらす革新は、製造業にどういう影響をもたらすのだろうか。ITベンダーでありながら製造業としての立場を持つNECはその強みを生かして早くから製造業のIoT活用を支援する「NEC Industrial IoT」を推進してきた。同活動を推進するNEC 執行役員 松下裕氏に話を聞いた。

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 IoT(Internet of Things、モノのインターネット)による産業革新は、あらゆる範囲の産業に影響を及ぼしつつある。こうした中で製造業はこの流れにどう立ち向かい、どう取り込んでいくべきなのだろうか。こうした中で自社の製造業のノウハウと自社が展開するICT(情報通信技術)の技術力を組み合わせて展開するNECは独自の立場を構築しているといえる。同社では製造業がIoTによるビジネス変革を進める波に乗り2015年6月に「NEC Industrial IoT」を発表。「つながる工場」と「つながる製品」の2つの軸での展開を進めている。NEC 執行役員 松下裕氏に製造業のIoTを取り巻く環境の変化と、NECの取り組みについて聞いた。

本連載の趣旨

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ITmedia産業5メディア総力特集「IoTがもたらす製造業の革新」のメイン企画として本連載「製造業×IoT キーマンインタビュー」を実施しています。キーマンたちがどのようにIoTを捉え、どのような取り組みを進めているかを示すことで、共通項や違いを示し、製造業への指針をあぶり出します。
⇒連載のバックナンバーはこちらから


きっかけは「ものづくり共創プログラム」

MONOist 今でこそ「IoTによる製造ビジネス変革」などに大きな注目が集まるようになり、ITベンダーも積極的に製造業向けのソリューションを展開するようになりましたが、その中でもNECはかなり早いタイミングで「製造業×IoT」としての姿勢を打ち出したように思いますが、なぜ早くに踏み切ることができたのですか。

松下氏 もともとの地盤として「ものづくり共創プログラム」を展開してきたということがあるだろう。「ものづくり共創プログラム」は2012年10月に開始した製造業の支援プログラムである。NECが持つ製造業としてのノウハウと、ITシステムやアセット、を組み合わせることで製造業の課題を解決するということを目指して設立した。「匠(たくみ)」「繋(つなぐ)」「活(いかす)」「共(ともに)」をテーマに、取り組んできた。課題を抱える製造業とNECが一緒になって問題解決を目指すためにユーザー会の組織化を進めてきたが、現在では会員企業は1000社以上となっている。

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松下裕氏:NEC 執行役員。「NEC Industrial IoT」を立ち上げ、IoTによる製造ビジネス革新に積極的な取り組みを推進する。

 このユーザー会の中で、毎年50以上の研究会や勉強会、見学会などを開催している。毎週、どこかで企業間の交流が生まれているということだ。こうした取り組みの中から、かなり早い段階でドイツが取り組む「インダストリー4.0」への懸念などもユーザー企業から聞いていた。

 ただ当初は、いろいろな情報を集める中でもわれわれの中では「すぐ来る話なのかな」と懸念を持っていた。コンセプト的な話でまだ時間がかかるようにも思えたからだ。

 そういう状況を一変させたのが、あるドイツ企業からの依頼だった。日本に工場を持つドイツ企業が、NECに相談を持ち掛けてきたのが、まさに生産ラインにおけるIoT活用だったのだ。こうした動きを見て「絶対に来る」と確信できた。そこからは一気に製造業のIoT活用の領域へと舵を切った。2015年は6月に「NEC Industrial IoT」の立ち上げ※)や、各種ソリューションの紹介を行った。また、NEC全社としても2015年7月にIoT戦略を発表するなど、IoTへの取り組みを明確化させる流れになったと考えている。今では多くの製造業から、IoT革新支援に対する引き合いが増えており、この流れに踏み切ったことは正しかったと感じている。

※)関連記事:米独の製造業革新に対抗する“日本版”構築へ、NECがIoTモノづくり基盤を発表

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NECのものづくり共創プログラムの活動状況 出典:NEC
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