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製造業のサービス化、予兆保全は単なる「はじめの一歩」いまさら聞けない第4次産業革命(7)(2/3 ページ)

製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第7回は、前回に引き続き「製造業のサービス化」についてご紹介します。

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IoTによる製造業のビジネスモデル変革の真価

 IVIロボット革命イニシアティブ協議会に参加するようになって、矢面氏は「製造業のサービス化」について、興味をかきたてられているようです。今日は米国事情に詳しい米国さんを捕まえて、根堀り葉掘り聞き出すつもりのようですよ。

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印出さん、こんにちは。あ、いたいた、米国さん、探していたんですよ。


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矢面さん、こんにちは。米国さんを探していたの?


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そうなんですよ。あれから「製造業のサービス化」が気になっちゃって。そうした動きはなんだか米国の方が進んでいるらしいから、教えてもらおうと思っていたんですよ。


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しばらく見ない間にすっかりやる気デスネー。確かに米国はさまざまな動きが出てイマース。


GEの取り組み

 さて、第4次産業革命、特にIoTによる製造業のビジネス変革の動きにおいて、進んでいると見られているのが、米国のGE(ゼネラルエレクトリック)です。GEはインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)※)の創設メンバーの中の1社であり、産業分野におけるIoT実装の拡大と新たなビジネス領域拡大を全社の中心戦略として展開しています。ビッグデータ解析やソフトウェアの開発を行う拠点をカリフォルニア州サンラモンに設立し、基本ソフトとなる「predix」などを開発。こうしたソフトウェア関連を横断的にまとめる「GEデジタル」を設立するなど活発な動きを見せ、さまざまな産業におけるIoT基盤の確立を目指しています。

※)関連記事:「ソニーも最初は町工場だった」IoT革新は中小製造業が起こす

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製造業のサービス化の動きとして象徴的な取り組みの1つが、GEの航空機エンジンでの取り組みだと思いマース。


 GEは航空機エンジンメーカーとしてエンジンを開発し、ボーイングやエアバスなどの航空機メーカーへ納品しています。基本的には航空機メーカーにとっての部品メーカーであったわけです。こうした中で航空機エンジンのIoT化が進みます。これにはさまざまな背景があるのですが、今回は触れずに話を進めます。航空機エンジンにさまざまなセンサーを取り付け、航空機エンジンの稼働状況などを詳細に把握できるようになりました。

 こうした中で、航空機メーカーと航空機エンジンメーカーとしてのビジネス関係が変化します。常にエンジンの状況が把握できることから、非稼働時間を嫌う航空機メーカーが、「エンジンが稼働した出力分だけに対価を払う」とした「パワーバイジアワー(Power By The Hour)」とした契約方法に切り替える動きが出てきました。これは、航空機エンジンを「モノ」として販売するのではなく、「エンジンの出力」という「コト」で販売するというビジネスモデルへの変化です※)。契約関係も、売り切りの販売契約から、定期的な関係を生み出すサービス契約へと変化します。

※)関連記事:製造業は「価値」を提供するが、それが「モノ」である必要はない

 こうした「コト(パフォーマンス)」ベースの契約は、例えば、エンジンメーカーにとっては稼働時間を増やさないと収益が減るため、モノとしての信頼性を高める働きを生むといわれています。一方で安定的な収益を得られるというメリットもあるといえます。

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IoTが製造業としてのビジネスの形や、契約の方法まで変えてしまったというわけですね。びっくりだなー。


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まだまだデース。これだけでとどまらないのが、まさにIoTが「産業革命」とされる理由デース。


 米国さんにはGEのサービスビジネスについてまだ伝えたいことがあるようですね。

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