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いまさら聞けないLoRaWAN入門産業用ネットワーク技術解説(1/4 ページ)

IoTデバイスを開発する上で重要なLPWA(低消費電力広域通信)ネットワークのうち、自前で基地局設置ができることから注目を集めているのが「LoRaWAN」です。本稿では、このLoRaWANについて、利用者視点で解説します。

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 IoT(モノのインターネット)デバイスが無線通信を行う際に、「低消費電力で長距離のデータ通信を可能とする技術」として注目を浴びているのが「LPWA(Low-Power Wide-Area Network)」です。その中でも“自前で基地局設置ができる”LPWAとして注目を浴びているが「LoRaWAN」です。

 本稿では、LoRaWANについて、「どのくらいの通信が可能なのか」「低消費電力とは具体的にどのくらいか」「利用するためには何が必要なのか」「実際の実装の雰囲気は」といった利用者視点から解説していきます。

まずは「LPWA」の定義から

 LoRaWANの解説の前に、まずは「LPWA」について確認しておきましょう。

 LPWAの明確な定義はありません。しかし、「長距離のデータ通信」そして「低消費電流」という2つの特徴を満たしている通信ネットワークがLPWAと呼ばれています。

 通信距離は1kmを超えることが1つの目安です。消費電流については、同じ長距離データ通信として利用されているセルラー通信のモジュールと比較して消費電流が低いことが挙げられます。

 例えばLoRaWANのトランシーバー(モデム)の1つである「SX1276」は、データ送信時の消費電流は最大で約30mAです。これはセルラー通信モデムの消費電流と比較しても約16分の1以下ですので、低消費電流と言えます(図1)。

図1
図1 消費電流の違い(クリックで拡大)

LPWAで利用されている技術

 LPWAで利用されている無線技術のほとんどが枯れた技術の上に成り立っています。例えば、LoRaWANにおける無線化技術はLoRa変調です。このLoRa変調の開発は2012年ごろに米国のセムテック(Semtech)が行いましたが、基礎となるスペクトラム拡散自体は1980年代に実用化されており、Wi-Fiなどでも使われている技術です。

 そのため、IoT向けにLPWAが開発されたわけではなく、旧来から存在してたLPWAの要素技術が提供する「長距離」「低消費電流」そして「狭帯域」という特徴がIoTにマッチしたというのも、LPWAがいま注目されている要因の1つになっています(図2)。

図2
図2 LPWAの位置付け(クリックで拡大)

「ライセンス」「アンラインセス」とは

 LPWAを紹介する際「ライセンス系」「アンライセンス系」と分類されることも多くあります。ここで「ライセンス」と言っているのは、利用する無線周波数や運用形態において必要となる「無線局免許」のことを指しています。

 電波は有限の資源ですが、簡単に利用できてしまうことから、日本国内において電波を利用した無線通信を行う場合は、原則として「無線局免許」が必要です。根拠法は電波法で、管轄は総務省となります。

 「無線局」というと送信機や基地局といった設備だと思いがちですが、設備の運用者といった部分も含めた総体が無線局と定義されています。

 LoRaWANは、「無線局免許」が原則不要である「アンライセンス系」LPWAです。

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