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レノボがNECに加えて富士通のPC事業も傘下に、合弁会社を設立へ製造マネジメントニュース

富士通は、100%子会社である富士通クライアントコンピューティングの株式の51%を中国レノボグループに、5%を日本政策投資銀行に譲渡することを決めた。これにより、富士通ブランドのPC事業は3社の合弁会社による運営となる。

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 富士通は2017年11月2日、PC事業を担う100%子会社である富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の株式の51%を中国Lenovo(以下、レノボ)グループに、5%を日本政策投資銀行(以下、DBJ)に譲渡することを決めた。これにより、富士通ブランドのPC事業は3社の合弁会社による運営となる。

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合弁会社設立に向け握手をする富士通の代表取締役社長の田中達也氏(右)とレノボグループの会長兼CEOのヤンチン・ヤン氏(左)

2016年に戦略的提携を発表

 富士通とレノボグループは2016年10月にPC事業における戦略的提携を発表(※1)。当時は提携の内容については「現在検討中であり話せない」(富士通 代表取締役社長の田中達也氏)としてきたが、1年を経て検討を進めた結果、最終的にレノボグループに過半数の株式を譲渡し経営の主導権を渡すという決断に至った。

(※1)関連記事:富士通とレノボがPC事業で提携、「あくまでも独立事業としての強化策」富士通社長

 FCCLは従来と変わらずPCおよび関連製品の研究開発・設計・製造・販売を行う。株式の譲渡は2018年度第1四半期をめどに行い、富士通が受け取る譲渡価額の合計は280億円(レノボ255億円、DBJ25億円)になる。合弁会社の体制は基本的には現状を維持し雇用も確保するという。代表取締役は、現在のFCCL代表取締役社長の齋藤邦彰氏がそのまま就任する。

 富士通 代表取締役社長の田中達也氏は「富士通の持つグローバル販売力やサポート力、開発や製造能力と、レノボが持つオペレーション力を融合し、グローバル市場で戦うための成功モデルを目指すという点は、2016年に発表した時と変わらない。法人PC事業はカスタマイズが必要で、顧客を知るということが重要。富士通の力はその領域で発揮できる」と述べている。

 一方のレノボグループにとっては日本市場の収益性が魅力だとする。レノボグループ シニアバイスプレジデント 兼 アジアパシフィック地域プレジデントのケン・ウォン(Ken Wong)氏は「PC市場で見た場合、日本は世界3大市場の一角であり、企業向けを中心としてPC需要は今後数年間は伸び続ける。さらに、グローバル市場に比べて日本はプレミアム価格帯のPCが売れる比率が高く、収益性の高い市場である」と市場性の魅力について述べている。

 さらに協業の効果については「両社の協業によるスケールメリットが発揮できる。今後クライアントコンピューティング領域全体でのイノベーションを加速させられる」(ワン氏)としている。

NECとの位置付けは?

 レノボグループは2011年にNECのPC事業を独立企業として傘下に収めており、今回のFCCLについても同様の独立運営を進める方針である。レノボグループの会長兼CEOのヤンチン・ヤン(Yuanqing Yang)氏は「日本市場ではレノボグループから、レノボブランドとNECブランド、富士通ブランドの3つのブランドを展開することになるが、日本のPC市場は成長市場でさらに収益的にも魅力的な市場であるという認識で、最適なリソースを展開していくことで成長が見込める」と今後に向けて自信を見せる。

 一方で、法人向けやサーバビジネスなどでも競合するNECとの差別化が難しくなるのではないかという質問に対しては「法人向けPCはカスタマイズが入る製品であり、製品単体の価値よりも総合的にどう提供するかという方向性で価値を発揮することが重要になってきている。ハードウェアとして差別化ができなくても、市場をどう理解してどういうサービスを作るかという点で差別化はできる」と富士通 田中氏は答えている。

 今回の譲渡の内容には、PC生産の主力工場である島根富士通なども含まれているが、同工場では富士通の産業用IoTサービスのためのさまざまな実証実験を実施。インダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)の実証工場などにも認定され、富士通のIoTサービスの高度化などを実現する高度な実証の場となっていた。これを外部化することについて富士通の田中氏は「基本的には現在の持ち分法適用分を握る合弁関係では、基本的には変わらずに影響力を発揮できる関係性がある。各種の実証などについても変わらず進めていけると考えている。むしろレノボグループの知見や協力なども取り入れて進化させることができる」と述べている。

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島根富士通の工場

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