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ソニー「aibo」復活の意義を考察するロボット開発、その深層(1/4 ページ)

新型の家庭向けロボット「aibo」を発表したソニー。同社社長兼CEOの平井一夫氏は「ユーザーに感動をもたらし、人々の好奇心を刺激する会社で有り続けることが、ソニーのミッションであり、ソニーの存在意義だ」と高らかに宣言したが、筆者の大塚実氏はやや複雑な思いでこの発表会を見ていた。

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 ソニーは2017年11月1日、新型の家庭向けロボット「aibo」(ERS-1000)を発表。同社社長兼CEOの平井一夫氏が「ユーザーに感動をもたらし、人々の好奇心を刺激する会社で有り続けることが、ソニーのミッションであり、ソニーの存在意義だ」と高らかに宣言したが、筆者はやや複雑な思いでこの発表会を見ていた。

 それはなぜか。率直に言って、驚きがまるで無かったからだ。確かにERS-1000の完成度は高く、商品として見れば素晴らしいと思う。しかし、機能としてはほぼ予想された通りで、1999年に先代の「AIBO」を発売したときほどのインパクトは無い。ソニーにとって、aiboの復活はどんな意義があるのか。本稿ではそのあたりについて考えてみたい。

新型「aibo」を持つソニー社長兼CEOの平井一夫氏
新型「aibo」を持つソニー社長兼CEOの平井一夫氏(クリックで拡大)

先代からどう変わったのか

 ソニーは、初代AIBOとなる「ERS-110」を1999年に発表。2006年にロボット事業から撤退するまで、さまざまな新型AIBOを投入し続け、累計で約15万台を販売したという。ソニーほどのメーカーからすれば、それほど大きな販売台数だったとはいえないものの、愛好者も多く、サポートが打ち切られたときにはちょっとした社会問題にもなった。

 今でこそ多くのロボットが家庭向けに販売されているが、当時はまだ20世紀末。家庭向けロボットという市場そのものがなく、AIBOの発売はある意味、社会実験のようなものだったかもしれない。ユーザーの反応なども含め、そこで得られた知見は、現在の家庭向けロボットの参考にもなっている。

 今回発表されたaiboは、それ以来、12年ぶりに発売される新型機となる。読み方は同じ“アイボ”だが、先代が大文字のAIBOであったのに対し、新型はaiboと小文字で表記。また型番も4桁に増えており、「単なる後継機ではない」ことを窺わせる。

「aibo」はかなり犬らしいデザイン。目は有機ELで表情も豊かだ
「aibo」はかなり犬らしいデザイン。目は有機ELで表情も豊かだ(クリックで拡大)

 新型aiboは、先代AIBOに比べ、さまざまな点で進化している。

 まずはメカトロニクス。先代AIBOの自由度は20軸だったが、aiboは22軸に強化。腰を振るような動きや、首をかしげる動きが可能になっており、表現力が増した。これを実現するために、超小型のアクチュエーターを新開発したという。

 CPUは、スマートフォンでも採用されているクアルコム製の4コアSoC「Snapdragon 820」を搭載。これで各種センサーや通信機能(LTE、Wi-Fi)を制御する。またこれとは別に、アクチュエーターを制御するためのモーションプロセッサも搭載している。

「aibo」のシステム構成
「aibo」のシステム構成。多数のセンサーとアクチュエーターを内蔵する(クリックで拡大)

 ボディーの各所には、2つのカメラを含む、多数のセンサーを内蔵する。鼻先のカメラでは、前方の画像認識を行う。人間の顔や物体を認識することが可能で、オーナーを識別することもできる。もう1つのカメラはSLAM(Simultaneous Localization and Mapping:自己位置推定と環境地図の同時作成)用で、背中に搭載。部屋のマッピングを行い、行動範囲を広げていくことができる。

鼻先カメラからの映像
鼻先カメラからの映像。人間を認識していることが分かる(クリックで拡大)
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