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「分析したら何でも分かる」は妄想? 第4次産業革命の前提となるデータの考え方いまさら聞けない第4次産業革命(24)(1/3 ページ)

製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第24回となる今回、は第4次産業革命において価値の源泉になる「データ」をテーマに、その考え方やポイントなどを解説します。

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本連載の趣旨

 本連載は、「いまさら聞けない第4次産業革命」とし、第4次産業革命で製造業が受ける影響や、捉える方向性などについて、分かりやすくご紹介していきたいと考えています。ただ、単純に解説していくだけでは退屈ですので、架空のメーカー担当者を用意し、具体的なエピソードを通じて、ご紹介します。

※)本連載では「第4次産業革命」と「インダストリー4.0」を、意味として使い分けて表記するつもりです。ドイツ連邦政府が進めるインダストリー4.0はもともと第4次産業革命という意味があります。ただ、本稿では「第4次産業革命」は一般用語として「IoT(モノのインターネット)による製造業の革新」を意味する言葉として使います。一方で「インダストリー4.0」はドイツでの取り組みを指すものとします。


本連載の登場人物

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矢面 辰二郎(やおもて たつじろう)

自動車部品や機械用部品を製造する部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長兼IoTビジネス推進室室長。ある日社長から「君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われたことから、話が始まる。多少優柔不断。印出研究所に入り浸っている。


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印出 鳥代(いんだす とりよ)

ドイツのインダストリー4.0などを中心に第4次産業革命をさまざまな面で研究するドイツ出身の研究者。第4次産業革命についてのさまざまな疑問に答えてくれる。サバサバした性格。


*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。

前回のあらすじ

第23回:「インダストリー4.0」は第3段階? ハノーバーメッセに見るフェーズの変化

あらすじ背景

 従業員200人規模の部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長である矢面辰二郎氏はある日、社長から「新聞で読んだけど、君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われます。しかし、「第4次産業革命」といわれても「それが何なのか」や「どう自分たちの業務に関係するのか」がさっぱり分かりません。そこで、矢面氏は第4次産業革命研究家の印出鳥代氏に話を聞きに伺うことにしました。


 さて前回のおさらいです。前回はハノーバーメッセ2018での「フェーズの変化」について紹介しました。夢のような理想を描くのではなく、これらを実現するための「現実的価値」に徐々にシフトしているという話でしたね。ちょうど、インダストリー4.0の動きも2017年頃から第3フェーズに入ったのではないかということでした。

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今は第3フェーズに入ったところじゃないかしら。2011〜2013年くらいまでがドイツ内でもさまざまな理想のコンセプトが議論された第1フェーズ、2014〜2016年くらいまでが全体像は確立されたものの具体的にどういうことが行えるかの模索が続いた第2フェーズ。そして第3フェーズは一部で具体的なソリューション提供が始まった時期ね。


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インダストリー4.0のフェーズ(編集部で作成)(クリックで拡大)

 フェーズ3に入ったことで現実的な価値が求められるようになり「地味だけど役に立つ」というソリューションが数多く登場してきたことが特徴になりました。課題が山積する中で、いかに最短コースを進み、新たな価値をモデル化できるかどうかが次のフェーズで先行するカギを握ると見ているということをお伝えしたんでしたね。

 さて、今回は「データの取り扱い」で困る話をよく聞くようになったので、第4次産業革命の価値の源泉ともいわれる「データ」についての考え方とポイントについて触れたいと思います。

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