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つながることで生まれる“際”が課題、「Lumada」は協創で解決する製造業IoT(1/2 ページ)

「第8回 IoT/M2M展 春」の特別講演に、日立製作所の森田和信氏が登壇。『協創で生まれるIoTを活用したバリューチェーンの革新〜「つながり」が生み出す新たなイノベーション〜』と題して、同社が展開する製造と流通分野向けのデジタル化戦略などを紹介した。

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日立製作所の森田和信氏
日立製作所の森田和信氏

 「第8回 IoT/M2M展 春」(2019年4月10〜12日、東京ビッグサイト)の「IoT活用の最新事例」をテーマとした特別講演に、日立製作所 インダストリー事業統括本部 CSOの森田和信氏が登壇。『協創で生まれるIoTを活用したバリューチェーンの革新〜「つながり」が生み出す新たなイノベーション〜』と題して、同社が展開する製造と流通分野向けのデジタル化戦略などを紹介した。

 グローバルにおけるデジタル化の進展の状況を見ると、過熱傾向にあったIoT(モノのインターネット)への期待度はピーク期を経て次第に落ち着きをみせている。今後はIoTを活用した問題解決に、継続的かつ熱心に取り組むプレイヤーが市場に残り、IoTへの安定投資時期に移行するとみられる。IoTをはじめAI(人工知能)、ビッグデータなどのテクノロジーの利活用は、「手段」重視から「目的」重視へと移り変わってきている。

 世界全体の動向を見ると、インダストリー4.0を提唱するドイツと日本が連携。「中国製造2025」を掲げる中国もドイツとのつながりが伺える。これまで自社の技術や自国との関係を重視していた企業が、さまざまなつながりを活用して、さらなる次の成長に向かおうという動きがみられる。

 ドイツと日本の関係としては、まず2015年3月に、両国首脳間で製造業におけるIoT/インダストリー4.0についての協力体制を確立している。2016年4月からは、この協力体制に関わる共同声明の発行を契機に、経済産業省とドイツ経済エネルギー省主導の定期的な交流会が推進されている。日立でも「こうした世界の流れを日本の製造業にフィードバックしながら、自前主義にならないように、いかに日本の強みを発揮していくかということにも目を向けて事業を展開している」(森田氏)という。

 現在、日本政府は「Society 5.0」に基づく成長戦略を打ち出しており、「IoTで全ての人とモノがつながり、新しい価値を生み出す」「AIなどにより必要な情報が必要な時に提供される」「ロボットや自動走行車などの技術で人の可能性が広がる」といったことが可能な世界の実現を目指している。こられの取り組みでは、社会課題を解決し、社会の持続的成長の提供に取り組むため国連が提唱した「SDGs」という目標と、グローバル化、市場創出、産業競争力などの経済成長の双方の実現を図ろうとしている。日立は、プロダクトとOT(制御技術)、ITを強みとしたデジタルソリューションの提供により、こられの目標実現に貢献する立場だ。

 日立は、製造業のIoT活用を考える上で、未来の産業・流通分野でさまざまな「つながり」が進展するとみている。人や設備、機能のオープン化による「つながり」、業界やプレイヤーを超えた「つながり」による見える化の進展、バリューチェーン内のさまざまな「つながり」と組み合わせによる効率化が起こり、それによってSociety 5.0が可能になる。

 特に、製造業などで顕著だったバリューチェーン内の分断が解消され、高度に「つながる」ことで顕在化している問題を解決できるようになる。例えば、物流業界でも人手不足が叫ばれ、物流倉庫でのピッキング作業などにロボットを利活用しようという動きがある。それらは1社だけで実現することは難しく、その解決には他社とのつながりが必要不可欠だ。製造業にとっても、ユーザーの要求が多様化し、それに伴い部品の調達も複雑化する中で、バリューチェーンを跨いだつながりの進展が求められる。

 しかし、これまでつながっていなかった分野がつながろうとするとき、そのはざまとなる“際(きわ)”でかならず問題が発生する。森田氏は「日立は、この“際”で発生する問題を顧客との協創で生み出したデジタル技術によって解決することで、つながる世界の全体最適化が可能となるというコンセプトで事業を展開している」という方向性を紹介した。

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