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ジェイテクトの新たな「FA」事業は“ヒューマンドリブン”で価値を生み出す製造業がサービス業となる日(2/3 ページ)

ジェイテクトが新規事業として立ち上げたのが製造業マッチングサービス「ファクトリーエージェント(FA)」だ。2020年4月1日から同事業は「株式会社ジェイテクトFA」として分離独立することになる。競合となる他社の製造業向け受発注プラットフォームと比べてどのような違いがあるのだろうか。

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「受付対応」が最大の特徴

 ファクトリーエージェントは、モノを加工したい発注側と、モノを加工する受注側をマッチングするサービスだ。最終的な契約は、発注側と受注側間での契約となり、ジェイテクトは仲介者としてサポートする立場になる。

「ファクトリーエージェント」は発注側と受注側をマッチングするサービスだ
「ファクトリーエージェント」は発注側と受注側をマッチングするサービスだ(クリックで拡大) 出典:ジェイテクト

 サービスの流れとしては「受付対応」「工場選定」「見積回答」「品質責任」「トラブル対応」「決済対応」から構成される。これらは、ファクトリーエージェントのWebサイト上でワンストップで対応可能だ。なお、ジェイテクトが受け持つのが受付対応と工場選定、決済対応で、見積回答、品質責任、トラブル対応は受注側で対応することになる。

「ファクトリーエージェント」のサービスの流れ
「ファクトリーエージェント」のサービスの流れ(クリックで拡大) 出典:ジェイテクト

 これだけを見ると、先行してサービスが提供されている製造業向け受発注プラットフォームとほぼ変わらないようにも思える。上出氏は、この指摘に対して「ファクトリーエージェントの最大の特徴であり他サービスと大きく異なるのは、発注側との最初の接点となる受付対応のプロセスになるだろう」と強調する。

 ファクトリーエージェントの受付対応では、最初に発注側が図面や加工要件などを登録するが、その後ジェイテクトの担当者がこれらの図面や加工要件を基に要求事項を整理するプロセスが入る。「発注側のニーズは、試作であったり、量産パートナーを求めていたりなど多様だ。また、登録していただく図面も2次元図面であることが多い。特に金属加工では圧倒的に2次元図面が多く、この2次元図面にある情報からしっかり意図を把握しないと、次の工場選定で最適な候補を提示できないし、受注側の工場も対応に困ることになる」(上出氏)。

 工場選定では、受付対応で整理した発注側の要求事項を基に、ファクトリーエージェントに登録されたパートナー企業から最適な受注側の候補を数社選定する。ファクトリーエージェントのパートナー企業には、東京の墨田区や大田区、東大阪市などの町工場企業を中心に数百社が登録されている。これらのパートナー企業の登録申請は完全招待制をとっており、その上でジェイテクトによる審査も行っている。上出氏は「当社の技術的バックグランドと信頼が基になって、はじめて優良なパートナー企業との契約が結べている。これにより、発注側のQCDにもきちんと対応できている」と述べる。

 見積回答では、選定されたパートナー企業がそれぞれ見積もりを提出した後、それらを相見積として発注側が比較検討する。その後正式に発注を行うことでマッチングは完了となる。受注側のパートナー企業は、スケジュールに合わせた部品の製造と納品、品質責任とトラブル対応を担う。「マッチング完了後は、発注側と受注側の間で密なコミュニケーションをとる必要が出てくる。ファクトリーエージェントでは、直接やりとりするためのコミュニケーションツールを用意している」(上出氏)という。

 ジェイテクトが担当する決済対応もファクトリーエージェントの特徴の1つになる。まず、発注側は納品された部品を検収した後で支払いを行えばよい。受注側についても、ジェイテクトとパートナー企業との間で後払いの回収を保証しているので安心してサービスを利用できる。

 発生する料金についても、発注側は商品代金だけを支払えばよい。ファクトリーエージェントに登録するための会費などは不要だ。受注側がジェイテクトに支払う手数料は成約ごとに発生するので、ファクトリーエージェントに登録しているだけであれば料金は一切発生しない。上出氏は「ファクトリーエージェントの利用料についてはいろいろと検討したが、日本の製造業はモノづくりに関わるコストは支払えるが、それ以外は支払えないという文化がある。これに対応した料金設定にした」と説明する。

「ファクトリーエージェント」の特徴
「ファクトリーエージェント」の特徴(クリックで拡大) 出典:ジェイテクト

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