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協働ロボットの安全評価をどう考えるか、「安全」で売るロボットSIの取り組み協働ロボット(1/2 ページ)

労働人口減少やCOVID-19の影響から製造現場の人作業の置き換えで注目を集めているのが協働ロボットである。しかし、協働ロボットの導入にはさまざまな課題があり普及拡大は容易ではない状況だ。協働ロボットの動向と課題点について、協働ロボット専門のシステムインテグレーションを展開しているIDECファクトリーソリューションズ 取締役でロボットシステム部部長の鈴木正敏氏に話を聞いた。

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 労働人口減少などに加え新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響により、製造現場で働く人手の作業を置き換えるために注目を集めているのが、安全柵を使わずに人と一緒に作業を行える協働ロボットである。人と同じ作業スペースを使えるために設置の利便性があり、従来の柵が必要な産業用ロボットでは導入が難しい領域にも使えるという利点があるが、現実的には導入にはさまざまな障壁があるという。

 協働ロボットの活用動向や導入の壁、課題点について、協働ロボット専門のシステムインテグレーションを展開しているIDECファクトリーソリューションズ 取締役でロボットシステム部 部長の鈴木正敏氏に話を聞いた。

協働ロボットに特化したシステムインテグレーションを展開

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IDECファクトリーソリューションズ 取締役でロボットシステム部 部長の鈴木正敏氏

 IDECファクトリーソリューションズは制御機器メーカーであるIDECの100%子会社で1972年に設立された。制御機器やハーネス製品の設計や、製造、制御ソフトウェアやアプリケーションソフトウェアの設計開発などを担い、自動車や工作機械、半導体、食品機械、マテリアルハンドリング、エレベーター、図書館などの幅広い業界の自動化に貢献してきた。

 その中で2017年に「協調安全ロボットテクニカルセンター」を設立し、協働ロボットに特化した形でシステムインテグレーション事業に参入した。協働ロボットに特化した理由について、鈴木氏は「ロボットインテグレーターとしては後発の立場となる中で新たな領域を開拓していく必要があった。協働ロボットは安全柵が必要ないからこそ安全性をどう確保するのかという点が重要になる。IDECグループではさまざまな安全機器を展開し、システムインテグレーション面でも安全性についてのさまざまな知見を持つ。これらを生かせることから協働ロボットに特化したシステムインテグレーションに取り組むことにした」と語る。

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IDECファクトリーソリューションズが展開する協調安全ロボットテクニカルセンター(クリックで拡大)出典:IDECファクトリーソリューションズ

 協働ロボットでは新しい製品分野であるため、工場で導入する際にそれぞれの企業が持つリスクアセスメント基準に該当するものがなく、新たな基準の作成が必要な場合も多い。また、協働ロボットにより新たに拡大することが期待されている「新たなロボット市場」においてはもともとロボットの導入経験がない企業も多く、そういう環境では新たにロボットに関するリスクアセスメント基準を作成することなども求められる。

 これらに対し、IDECグループでは、セーフティアセッサ資格なども含めて安全資格を持つ専門家によるコンサルティング部門があり、サポート体制を用意している。これらを活用することで、単純なロボットのインテグレーションだけではなく、実際の使用環境での安全性を考慮した基準作成なども含めた総合的な環境を構築できるというわけである。

 実際に協働ロボットのシステムインテグレーションを開始する中で、協調安全ロボットテクニカルセンターにも2018年には200社、2019年には250社と多くの企業が来訪し、検証などを含めて案件も増えてきていたという。2020年には本格的に受注に進む期待が高かったというが「COVID-19で特に中小企業との話は一時止まっている。大手についても一時止まる動きがあったが、2020年9月以降は再び動き始めたという感じだ。withコロナの発想で『自動化できるところはする』という動きが加速しており、そういうニーズが今後は広がると見ている」と語っている。

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IDECの協調安全技術(クリックで拡大)出典:IDECファクトリーソリューションズ
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