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中小製造業にこそ求められる付加価値創造、“望ましい循環”を生み出すポイント2020年版中小企業白書を読み解く(3)(2/8 ページ)

中小企業の現状を示す「2020年版中小企業白書」において中小製造業も含めた中小企業にとっての「付加価値」の創出の重要性や具体的な取り組みについて3回に分けて考察する本連載だが、最終回となる今回は企業が生み出す「付加価値」の最大化について、付加価値の「創出」と「獲得」の両面から具体的に見ていきたい。

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付加価値の「創出」に向けた5つの取り組み

 中小企業白書2020では、付加価値の「創出」に向けた具体的な取り組みとして下記の5つを上げている。

  • 事業領域・分野の見直し
  • 製品・サービスの差別化
  • 無形資産の有効活用
  • 外部連携・オープンイノベーションの推進
  • 事業領域・分野の見直し

 商品を最終的なユーザーに提供するまでの、企画、開発・設計、組み立て・製造、販売、サービスといった価値創造の工程の連なりとしてバリューチェーンがある。このバリューチェーンの事業領域別に営業利益率や労働生産性の傾向を見ていくと、「最終製品の開発・設計」サービス・メンテナンス」「素材の製造」「部品の製造」の領域で営業利益率が他の領域と比較して高い傾向にある(図6)。また、「素材・部品の卸売」「最終製品の卸売」「素材の製造」の領域において、労働生産性が高い傾向にある(図7)。

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図6:主たる事業領域別、営業利益率の水準(2018年)(クリックで拡大)出典:中小企業白書2020
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図7:主たる事業領域別、労働生産性の水準(2018年)(クリックで拡大)出典:中小企業白書2020

 開発・設計、製造など複数の事業領域にわたって事業を営む企業も多く存在することから、事業領域を「上流、中流、下流」と大きく3つに分類した上で、企業の事業領域の保有パターン別に、営業利益率や労働生産性を見ていくと、自社で上流の企画・開発機能を保有する企業は生産性が高くなる傾向がある(図8、図9)。

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図8:複数の事業領域を保有する企業における営業利益率の水準(2018年)(クリックで拡大)出典:中小企業白書2020
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図9:自社企画・開発した製品類の年間総売上高に占める割合別、労働生産性の水準(2018年)(クリックで拡大)出典:中小企業白書2020 

 新事業領域進出の業績への影響については、企業の39.8%が数量増加と単価上昇の両方につながったと回答している(図10)。また、新事業分野への進出については、企業の36.0%が数量増加と単価上昇の両方につながったと回答している。

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図10:新事業領域進出の業績への影響(2013年以降)(クリックで拡大)出典:中小企業白書2020

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