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制御盤内に後付けで予兆保全、高調波センサーとAIを使った設備診断スマートファクトリー(1/2 ページ)

パナソニック インダストリアルソリューションズ社(以下、パナソニック)は2021年2月8日、高調波センサーとAI(人工知能)の組み合わせによる「AI設備診断サービス」の提供を同年4月に開始すると発表した。工場などの制御盤内にセンサーを後付けで設置するだけで設備の「いつもと違う」を把握し予兆保全を実現できる。

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 パナソニック インダストリアルソリューションズ社(以下、パナソニック)は2021年2月8日、高調波(※)センサーとAI(人工知能)の組み合わせによる「AI設備診断サービス」の提供を同年4月に開始すると発表した。工場などの制御盤内にセンサーを後付けで設置するだけで設備の「いつもと違う状況」を把握し予兆保全を実現できる。

(※)高調波:電流(交流)の基本波(歪みのない波形)に対する整数倍の周波数成分のことで、歪みを持った波形で表される。

製造現場で高まる保全の負荷を軽減

 製造現場では、設備の安定稼働を守るために保全活動が欠かせないが、老朽設備の増加や人手不足などにより保全の負荷が高まっている。そのため、設備の状態を把握し、その変化に応じた適切なタイミングで保全を実施する状態基準保全(コンディションベースメンテナンス、CBM)に注目が集まっている。

 これらの課題を解決するために、パナソニックが新たに商品化したのが、高調波センサーとクラウド上のAIの組み合わせによって設備の状態変化を検知する「AI設備診断サービス」である。設備診断用途に開発された高調波センサーとAIの組み合わせによるサービスは「業界初」(パナソニック)だとしている。

 「AI設備診断サービス」は、設備の状態変化が現れやすい電流内の高調波領域をセンサーでモニタリングし、機械要素部品が「いつもと違う」状態に変化したことを検知し、利用者へ通知するというものだ。

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AI設備診断サービスの概要(クリックで拡大)出典:パナソニック

高調波センサーを採用

 設備の変化を把握するには、一般的な電流センサーを用いる場合も多いが、高調波センサーを採用した理由としてパナソニック インダストリアルソリューションズ社 メカトロニクス事業部 サービス事業推進部 主務の近藤一哉氏は「機械要素部品の状態変化は電流の中でも高調波領域に現れることが多い。通常の電流センサーでは他の要素に埋没して変化がクリアに抽出できない場合があるが、高調波センサーにより対象を高調波に絞り込むことで変化がクリアに拾い出せる。またこれらは、診断対象の周囲で発生する振動の影響を受けず、設備本体に取り付ける必要がないため設置時に設備を止める必要がない」とその利点について語っている。

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高調波センサーの価値。変化の出る高調波だけを抽出するために変化を把握しやすい(クリックで拡大)出典:パナソニック

 これらで得たデータから設備の動作特性を踏まえて、必要な部分を選択して、対象データを絞り込む。その変化をAIで学習させ「いつもと違う」を把握する。データを絞り込んでいるため、学習時間の短期化と分析性能の早期向上が可能だ。

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必要データを絞り込むことで学習時間や分析性能向上を短期化(クリックで拡大)出典:パナソニック
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