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技術者が行けない! タイでの新製品量産を遠隔立ち上げしたOKIデータの挑戦スマート工場最前線(1/4 ページ)

COVID-19により人の移動が制限される中、従来は技術者を派遣していた海外工場での量産立ち上げなどが行えない状況が生まれている。こうした中で、新規設計製品の量産立ち上げを完全リモートで行い成功したのがOKIデータである。カラーLEDプリンタ戦略製品の遠隔立ち上げへの取り組みを紹介する。

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により「人の移動」が断続的に制限を受ける中、モノづくりにおいて大きな影響を受けているのが、技術者派遣によって生産性や品質を確保していた量産立ち上げなどの業務である。COVID-19の影響が長期化する中、市場投入のタイミングから「人の移動」なしに新規製品の開発や生産を行わなければならない場面も生まれてきている。

 この中で、完全に新規設計の戦略商品の量産を、全てリモートで立ち上げ、軌道の乗せたのがプリンタ製品などを開発、製造するOKIデータである。同社が取り組んだカラーLEDプリンタ「COREFIDO(コアフィード)C650」(以下、C650)の遠隔量産立ち上げの取り組みを追う。

戦略製品の量産を完全リモートで

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カラーLEDプリンタ「COREFIDO(コアフィード)C650」(クリックで該当記事へ)

 OKIデータでは2020年10月に現場向けの新たなプリント需要を開拓する戦略製品としてカラーLEDプリンタ「C650」を発表した。同製品はさまざまな現場での”究極のユーザビリティ”を目指し、設置スペースや本体サイズに加えて、メンテナンススペースの最小化を狙い、完全に新規設計を行ったものだ。既に2021年2月から出荷を開始しているが、グローバルでの年間販売目標を2万台としている。

 同製品は設計は日本、生産はタイで行っている。つまり、コロナ禍において技術者を現地に送ることができず、量産立ち上げを全てリモートで行う必要があったのである。

 通常、新規製品の量産立ち上げには、設計や生産技術、品質管理、加工技術、技術開発、調達など複数部門の担当者が技術者を実際に現地に派遣し、安定した品質と生産性を実現できるまで、生産現場に入り込んで問題の解析や作業指導などを行うのが一般的だ。OKIデータでも「従来は10〜15人でタイ工場に入って、量産立ち上げを行うのが通常だった」とOKIデータ 生産統括本部 生産技術部 部長の末次貴之氏は語っている。

 しかし、緊急事態宣言やロックダウンなどで、物理的に技術者を現地に派遣することが不可能となった。一方で、戦略製品ローンチのタイミングは迫ってきていた。さらに「C650」は新たにニーズを開拓する目的の新規設計製品であり生産工程にも新たなチャレンジが必要な状況だった。また、「業務品質」も訴えていることから、高い品質の確保は必須である。

 これらの条件に差し迫られたため「技術者派遣と同等の取り組みがリモートでできないか」ということを検討し始めたという。具体的な取り組みとして、量産立ち上げにおける技術者派遣による業務内容を洗い出し、さらに、これらの踏まえた上で、それぞれの作業における日本側の課題と海外工場側の課題を抽出した。

 例えば、日本側の立場で見ると、多くは「現地、現物、現象の確認ができない」ことによる課題が多く出た。設計変更における「変更部品や設計目線の確認ができない」や設備準備における「設備動作品質の確認ができない」、組み立て指導における「組み立て検査の直接的な指導や、作業の確認ができない」などである。

 一方で海外現地工場の立場で見ると、従来は日本からの技術者派遣に指導や評価などのポイントや問題解決の方法などをゆだねていたところがあるため、それなしにどう運営すればよいのか分からないという課題が出た。例えば、「立ち上げ手順や確認方法が分からない」や「注意ポイントの作業手順が分からない」「部品のどこを確認するのか把握できていない」「工程指導のポイントが分からない」などである。

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量産立ち上げ業務の再確認とリモートにおける課題の抽出(クリックで拡大)出典:OKIデータ
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