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カシオが取り組む“人作業の見える化”、ミズスマシなど準直接作業の効率向上スマート工場最前線(2/3 ページ)

スマート工場化で障壁となるのが「人手作業のデータ化」である。この人手作業のデータ化に現在取り組んでいるのがカシオ計算機である。カメラやビーコンを使用し工夫しながら人手作業に取り組む同社の取り組みを追う。

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「人作業の見える化」として具体的に進めた2つの取り組み

 これらの目標を実現するために進めたのが「定位置作業者の見える化」と「移動が多い作業者の見える化」の2つである。

 「定位置作業者の見える化」については、定点カメラとモーションキャプチャーを活用し、AI(人工知能)による映像分析により、作業手順や作業時間、移動量、環境の変化などを記録するというものである。ライン作業者や受け入れ検査員などを対象としている。

 一方で「移動が多い作業者の見える化」については、Bluetooth Low Energy(BLE)とジャイロセンサーを組み合わせたスマートタグを用意し、これを作業員に装着してもらう。これでそれぞれの作業員の位置や導線、滞在時間や運動量などを把握する。こちらはミズスマシや構内物流員などを対象としている。

 「それぞれの仕組みには得意な点と苦手な点がある。定点カメラとAIについては、細かい作業分析に向いているが、カメラの視野外は把握できないという課題がある。また、映像が正確に撮影できないような環境も苦手だ。一方でBLEとジャイロセンサーを活用した行動分析は、移動を示すような大きな行動分析には向いている。ただ、導線の精度は5m程度だ。これらの良い点を組み合わせることでリアルタイムな見える化を実現する」(鈴木氏)

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カシオ計算機が進める人物行動分析の2つの取り組み(クリックで拡大)出典:カシオ計算機資料から編集部で作成

具体的な実証試験の内容

 カシオ計算機ではこれらを目指し、実証実験を断続的に繰り返している。2019年10月に山形カシオの時計ムーブ製造ラインにおいてスマートタグの実証を行った他、2020年9月には関数電卓ラインの一部で定点カメラとAIによる実証実験を行った。さらに、2020年11月にはこれらのスマートタグと定点カメラとAIを組み合わせた関数電卓ライン全体での実証実験を行った。

 2020年11月の実験機材は、定点カメラおよび受信機としてスマートフォン5台を用意。移動者向けでは、スマートタグ30個とロケーションビーコン50個を用意した。スマートタグについては、岩手県立大学 ソフトウェア情報学部 教授の堀川三好氏が開発したものを活用し共同実験の形で実施している。

photophoto 作業員が装着するスマートタグ(左)と工場内に5m間隔で設置したロケーションビーコン(右)(クリックで拡大)出典:カシオ計算機
photophoto 定点カメラの様子(左)と定点カメラで撮影されている映像の一部(右)。作業員はそれぞれスマートタグも設置している(クリックで拡大)出典:カシオ計算機

 具体的には、組み立てラインと倉庫エリアに25の場所を示すロケーションビーコンと5つの定点カメラを設置し、生産エリアにおける生産作業の様子と人の動き、倉庫エリアと生産エリアの人の動きや導線などの分析を行った。

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ロケーションビーコン、定点カメラの設置位置(クリックで拡大)出典:カシオ計算機資料から編集部で作成

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