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横河電機が進める2つのDX、グローバル最適化やIT変革を推進日本モノづくりワールド(1/2 ページ)

日本ものづくりワールド(2021年2月3〜5日、千葉県・幕張メッセ)の特別講演として、横河電機 執行役員(CIO)デジタル戦略本部長 兼 デジタルエンタープライズ事業本部DXプラットフォームセンター長の舩生幸宏氏が「横河電機のグローバルIT戦略〜DX推進に貢献出来るIT部門への変革〜」をテーマに講演した。

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 日本ものづくりワールド(2021年2月3〜5日、千葉県・幕張メッセ)の特別講演として、横河電機 執行役員(CIO)デジタル戦略本部長 兼 デジタルエンタープライズ事業本部DXプラットフォームセンター長の舩生幸宏氏が「横河電機のグローバルIT戦略〜DX推進に貢献出来るIT部門への変革〜」をテーマに講演した。

 横河電機は現在、中期経営計画「Transformation(トランスフォーメーション)2020(略称:TF2020)」の下、社員の生産性向上を目的とした「Internal DX」と顧客価値創造を目的とした「External DX」を、バランスを取りながら推進している。この内と外のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に際し、要となるのがIT部門の変革であり、旧来の情報システム部門からDX推進が可能なIT部門を実現するための取り組みを行っている。本稿ではその内容をお伝えする。

社内のDXと社外のDX

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講演を行う舩生氏。コロナ禍によりマスク着用でアクリル板を設置して講演を行った

 横河電機の創業は1915年。計測・制御機器メーカーとして成長を続けてきた。売上高の約9割を創業事業である計測など制御システムを占めている。地域別売り上げの構成比は国内3割で海外が7割という状況で、製品サービスとしては、各種プラントのデバイスをコントロールする制御するOT(オペレーションテクノロジー、制御技術)が最も大きなビジネスとなる。最近ではこれらに加えて、IoT(モノのインターネット)センサーおよびソフトウェアなどのIT分野が成長しているが、舩生氏は「このOTとITの2分野をどのように融合させていくかが当社の大きな課題となっている」と指摘する。

 同社の2018年度を開始年度とする中期経営計画「TF2020」では、既存事業(主に制御事業)の強化、新規ビジネス(バイオエコノミーなど)の拡大、グループ全体最適による生産性向上の3つを軸としている。この中で、現在大きなポイントとなっているのが、プラント建設の際のエンジニアリングだけでなく保守メンテナンスなどのリカーリングビジネスへのシフトである。DXの推進戦略については2種類に分かれており、1つは社内において、社員の生産性を2〜3割程度向上させる「Internal DX」である。そし、もう1つが顧客向けに新たなデジタルサービス提供するビジネスで「External DX」である。これらをデジタルエンタープライズ事業本部が担当している。

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横河電機が推進する2つのDX(クリックで拡大)出典:横河電機

 舩生氏は、自身の経験からDXの本質を「もともと企業のシステムが、これまでさまざまな事業本部やリージョン別、機能別に構築されており、統合できていなかった。それを統合するために必要な視点は、顧客、社員、パートナーであったが、従来はこれらの統合を実施するのは人が“すり合わせ”などで実現していた。そのため低生産性、低スピードという難点があった。その課題を解決するには、カスターマーエクスペリエンス(CX)、エンプロイーエクスペリエンス、パートナーエクスペリエンスの3点でシステムを統合していくことがDXの本質だ」と訴えている。こうした観点のもと、これらをグローバルで再編し、一元的なシステムとして構築していくことをポイントに置いている。

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