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カオスな倉庫も独自技術で柔軟に走行、Rapyuta Roboticsの自律移動ロボット羽田卓生のロボットDX最前線(3)(3/5 ページ)

「ロボット×DX×工場」をテーマに、さまざまな領域でのロボットを活用したDXの取り組みを紹介する本連載。第3回は、独自の群制御技術を搭載したクラウドロボティクスプラットフォームと、対応する自律移動ロボットを開発するRapyuta Roboticsを取り上げる。

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AMR、GTP方式、自動倉庫の違い

 ところで、物流倉庫向けのロボットはAMR以外にもいくつかある。倉庫向けのロボットというと、Amazonの事例を思い浮かべる方も多いのではないか。ロボットが棚の下に潜り込み、棚ごと商品を引っ張ってピッキングしやすくするもので、「GTP(Goods to Person)方式」と呼ばれている。

 他にも「自動倉庫(Automated Storage and Retrieval System)」と呼ばれるタイプだ。多くの商品が詰められている専用のコンテナを高密度に集積して、出荷指示に応じて対象の商品が入った専用コンテナをロボットがハンドリングして、ピッキングする。

 このどれが一番優れているということはないが、それぞれのソリューション導入に向いている倉庫の規模に違いはある。

 GTP方式の場合、ロボットが動く区画はロボット専用エリアに限定される。床面は、ロボットを運用するために、平滑な床にする必要があるし、床などにマーカーを張る必要もある。棚もロボットが潜り込むために、専用のものに変更する必要がある。

 また、GTP方式のロボットソリューションの中にはリアルタイムな出荷動向データと、それに基づく棚位置の最適化システム導入を前提とした生産性向上を目指しているものもある。出荷量が多い商品の棚は手前にある方が良く、反対にあまり出荷されない製品は奥にあっても良い。このような動的な棚配置システムの導入が必要になる場合もある。

 自動倉庫も、その装置の大きさなどから一定以上の倉庫規模が求められる。導入を最初から想定した規模で建設する必要だという意味で、新築の倉庫向きの方式といえるかもしれない。

 一方で、AMRは導入に際して棚の配置を変更する必要もない。もちろん、WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)との連携は必要だが、ほとんどの領域は現状の業務を止めることなく、レトロフィット的アプローチでロボット化、DXを行える。倉庫を新築したり、大規模改修したりする必要がないのは利点だ。

倉庫向けロボットの分類
ロボットタイプ 説明 適応規模 改修範囲
AMR 人とロボットが協調して働く方式 中小 中小
GTP ロボットが棚を人に運ぶタイプ
自動倉庫 ロボットをコンテナの出し入れを行うタイプ

取材で見たrapyuta.ioの一番の強み

 ここからは、rapyuta.ioとAMRの導入を進める京葉流通倉庫の事例を見ていこう。取材を通じて感じたのは、Rapyuta Roboticsが物流現場に与えるメリットの中でも一番重要なのは、商品流通量の変動に応じて、システムの構成を可変的に合わせる柔軟性ではないかということだ。

 京葉流通倉庫 DX推進室長 執行役員の飯塚雄一氏は、「当社のような3PL(サードパーティー・ロジスティクス)企業は、委託元の契約が長くても3年でその後は1年ごとの更新となるのが一般的だ。そのため、システムを導入しても長期での投資回収見通しが立ちにくく、結局導入自体が難しいというケースも少なくない」と語る。

 京葉流通倉庫が持つある倉庫では小売店向けのペット用品を扱っている。流通量は曜日によって偏りがあり、月曜か木曜に発注量のピークが来るという。週末に店舗のセールが集中しているためだ。基本的に受注すれば翌日には配送するため、土日のピークに向けて、木曜に発注して金曜着で棚を埋める。そして、週末に棚の商品が少なくなった分を月曜に発注するというわけだ。

 しかし、この業務スケジュールも、業務量も、長期的に安定して続く保証はない。流通量が突然激減する可能性もある上、数年後に小売店との契約が突然終了するかもしれない。反対に商品の流通量が急激に増える可能性も、異なる種別の商品を扱う可能性もある。そうした流動的な状況下で、特定のロボットやシステムを決め打ちで導入するのはギャンブルともいえる。

 rapyuta.ioは、AMRだけでなくロボットアームや自動フォークリフトなどRapyuta Robotics以外の機体も接続可能だ。急激に流通量が増え、追加策としてフォークリフトを導入するケースがあり得るが、rapyuta.ioは「マシンレイヤー」に新たな機器を追加するだけで、既存のAMRと同様に制御下における。このような柔軟性は、業務量変動の見通しを立てにくい現場では大きなメリットとなるだろう。業務量が落ち着いた期間はAMRを非稼働にするか、別拠点で運用させるといった対応が考えられる。

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