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生産計画と並ぶ工程管理の柱、「進度管理」は生産方式に合わせて適切に選択せよ工程管理は、あらゆる現場問題を解決する(6)(1/3 ページ)

工場における生産管理の根幹となる「工程管理」について解説する本連載。第6回は、生産計画と並ぶ工程管理の柱である「進度管理」について説明する。

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 今回は、ほとんどの生産現場で多用されている、流れ生産とロット生産の各生産方式における進度管理について解説いたします。工程管理を一言でいえば、生産計画と進度管理がセットで行われて初めて工程管理が実行されているといえます。しかしながら、多くの企業で生産計画(Scheduling)を工程管理の全てと理解されているように感じることが度々あります。

 生産現場は、購入部品や外注品の納入遅延、不良の発生、設備の故障や作業者の休暇取得による一時的な生産能力の低下などによって、計画した通りにはなかなかうまくいかない場合が多く発生します。このため、計画通りに生産が遂行しているか否かを常に確認しておかなければなりません。

 生産が遅延している場合は、その結果を踏まえて、作業の遅れをどのように挽回するのかという人員の配置変更や時間外労働などを含めたマネジメントと、今後、遅延が発生しないように生産の計画進行の阻害要因となった事項の排除や改善が必要になってきます。このことが、本連載のタイトルに設定している「工程管理は、あらゆる現場問題を解決する」という結果となり、スムーズな生産体制の確立へとつがっていくことになります。

 工程は、それぞれ独立したものではなく、多くの工程が集まって、それぞれが密接に結び付いて互いに影響を及ぼし合っていますので、相互に関連性を持つことによって全体の機能を果たすことになります。工程管理は、これらについて量や時間の面で統制を行うことです。主として、直接作業に対しての統制ですが、周辺の資材調達、外注管理、設計進捗、入出庫作業などについても側面的に対応します。また、日々発生する事象の分析結果を工程改善に生かして、改善効果として結び付けていくことも重要な仕事です。

 今回は、生産方式によって進度管理方法が異なることと、その遅延対策をどのように考えるべきかということをご理解していただき、適切な工程管理の一助にしていただければと考えております。

⇒連載「工程管理は、あらゆる現場問題を解決する」バックナンバー

1.進度管理

 指示された日程計画を維持していくために、作業の進行状況を把握し、遅れと進み具合を調整するのが進度管理です。進度管理の目的は、指定工完日の厳守と生産速度の維持の2点です。

 進度管理を行うためには、作業準備、作業手配から作業完了に至るまでの生産の流れと作業の進行状況を一括して管理していかなければなりません。従って、生産統制の各業務は進度管理と並行して進められることが多いので、生産統制の中心は進度管理でもあるともいわれています。

1.1 生産進度把握の2つの側面

 進度管理としては、生産の進捗状況を次の二つの側面から把握しておく必要があります。

(1)どの工程まで進んだか

 個別生産方式やロット生産方式の場合は、個々の作業指示に対して、それぞれどの工程まで進んでいるかを移動票や作業票から確認します。

(2)何個完了したか

 代表的な量産方式の一つでもある流れ生産方式の場合には、個々の製品の進行状況を把握する必要はなく、ライン全体の作業完了の数量を確認すれば進度管理が可能となります。

1.2 生産進度管理の主な業務

 進度管理で行われる主な業務としては、以下の作業があります。

(1)作業配分と指示

 流れ生産方式の場合には、製品別の生産数量を指定するだけで指示は終了します。しかし、個別生産の場合には、他の関連部品の進行状況や余力などを考慮して、中日程計画を分解して、「どの作業をいつまでに」という、確定した作業指示を行う必要があります。

(2)進度の調査

 作業の進度の調査は、移動票や作業票、あるいは作業日報によって日々の生産状況を的確に把握し、これを進度表に記入もしくは入力して、予定に対する進みや遅れを調べます。

(3)遅延の処置と対策

 調査の結果、遅延があった場合には、直ちにその原因を調べて、関連部門と協力して対策を立案・改善しなければなりません。遅延対策としては、「納期の遅い仕事と順序を入れかえる」「残業を行う」「増員する」「外注を利用する」などの方法がありますが、これらはいずれも一時的な対策にすぎません。遅延を根本的に防ぐためには、遅延の原因を追究してこれを除去する、飛び込みや特急の注文に応じることができるように常に余力を持つなどの方法を考慮しなければなりません。

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