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自動車メーカーの稼働調整になぜ注目? 工場の操業を左右する「生産計画」いまさら聞けない自動車業界用語(14)(1/2 ページ)

今回は工場の生産計画と内示について部品メーカーの視点から解説します。日々変動する生産計画ですが、欠品させずに利益を生み出すには厳密な管理や仕組みが必要です。工場を中心に関わる部門も多いと思いますので、自動車業界の方はぜひとも覚えておきましょう。

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ご安全に! 自動車部品メーカーで働くカッパッパです。
今回は工場の生産計画と内示について部品メーカーの視点から解説します。
日々変動する生産計画ですが、欠品させずに利益を生み出すには厳密な管理や仕組みが必要です。
工場を中心に関わる部門も多いと思いますので、自動車業界の方はぜひとも覚えておきましょう。


→その他の「いまさら聞けない自動車業界用語」はこちら

 工場の生産計画において最初に検討されるのは、開発前段階での「企画台数」です。部品メーカーが自動車メーカーから見積もりを受領し、受注する際には、どれだけの製品が必要なのか、数量が伝えられます。部品メーカーではその数量に応じて生産設備の準備を行います。

 この「企画台数」は、クルマの量産開始から打ち切りまでのライフサイクルの平均台数となっています。よく、新車発売直後に「月間目標販売台数の〜倍の予約」といったニュースがありますが、この「月間目標販売台数」が「企画台数」とされる数量です。基本的には量産開始直後の数量が多く、量産末期に近づくにつれて少なくなっていきますので、新車発表直後は実際の受注台数と一致しないことがあります。自動車の販売が好調な場合には企画台数が変更されることがあり、供給できるだけの生産能力を確保しておかなくてはなりません。

 次に部品メーカーが確認するのは、自動車メーカーから半年ごとに出される長期計画です。この数量を基に部品メーカーでは製造ラインの稼働状況や人員配置、売り上げの見込みなどを作成します。車両生産計画に基づいた数量となるため、企画台数よりも実際の受注数量に近くなります。

企画台数が増えた場合の2つの手段

 部品メーカーでは長期計画の数量を基に実際に生産能力が足りるのかを検討しますが、企画台数よりも上振れした場合は事前に準備していた生産能力をオーバーする可能性もあります。この状況に対しては、大きく分けて2つの対応方法があります。

 1つ目は設備投資です。設備を導入することでラインの生産能力を上げ、自動車メーカーに供給できる部品の台数を増やします。ただ、設備投資を行うと、償却費が増え、製造原価が高くなります。そのため、設備投資するかの判断は納入先の自動車メーカーを含めた関係者とも連携し、慎重に進めていく必要があります。実際に設備を導入して利益が出るのか、設備の導入が果たして間に合うのか、検討すべき懸念事項は非常に多いです。

 もう1つの方法は先行生産です。例えばラインの生産能力が100個分、自動車メーカーの長期計画が120個分の場合、20個分の生産能力が足りません。前月の生産量が80個であるなど生産能力に余裕があれば、翌月分の20個を先に作ることによって不足なく供給できます。ただし、先行生産で作った製品の置場を確保できるか、長期保管する部品の品質を確保できるか、といった課題があり簡単にできることではありません。


企画台数や月間内示数量によって、工場の設備投資や操業が決まる(クリックして拡大)

生産計画が決まるまで

 部品メーカーの生産計画は、自動車メーカーから伝えられた月間内示数量を基にしています。自動車メーカーからは通常20日ごろに今後3カ月分の月間内示数量が連絡され、部品メーカーではその数量を基に自社の生産計画を立案します。翌月の数量である次月内示はほぼ確定となりますが、2カ月後や3カ月後の内示に関しては変動する可能性が高くなっています。

 生産計画作成の際に重要なのがBOM(Bill Of Materials、部品表)です。これは、製品に対してどの部品がどれだけ使われるのか、その部品がどの仕入れ先のどの製造ラインで作られるのかをまとめたデータベースです。自動車メーカーからの内示数量を、部品表で自社または仕入先の部品数に変換し、工場での生産計画や仕入れ先への部品内示を立案します。工場での生産計画は、製造ラインに対して作業者がどれだけ必要か、残業や土曜の出勤がどの程度必要になるのかなど、人員計画も含まれています。

 月間内示数量が既定の割合を超えて変更となる場合には、自動車メーカーが毎月の連絡とは別に変更を伝え、部品メーカーもそれに対応して納入します。

 月間内示数量について自動車メーカーから確定の発注があると、1日単位または1日複数回の便に分けて部品を納入します。トヨタ自動車などでは、製品に付いた「かんばん」が外れた枚数だけ確定発注とする仕組みが多く使われています。

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