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少量多品種製造を高効率に、“自販機”も使うOKIネクステックの自動化への道メイドインジャパンの現場力(30)(2/2 ページ)

製品ニーズの多様化が進む中、特に国内工場には少量多品種生産の体制で、いかに効率化を図るかという点が大きなテーマになってきている。こうした中で、さまざまな工夫で自動化領域を拡大し、生産性向上を図っているのが、OKIネクステックの小諸事業所だ。同社の生産性向上への取り組みを紹介する。

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検査工程の自動化を強化

 さらに、最近強化しているのが検査工程の自動化である。検査工程は人手による作業が数多く残る領域だとされているが、新たに3次元自動光学検査(AOI)装置を導入し、検査工程の負荷軽減を推進している。従来も2次元AOI装置を活用していたが「2次元の場合、どうしてもリード部品や立体部品などでは把握しきれないところがあった。こうした領域は人手で検査せざるを得ないが、その負荷が非常に大きかった。それを3次元検査が行えるようになったことで大きく軽減できる」と原田氏は述べる。

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新たに導入した3D AOI装置。検査時間を大幅に削減可能に(クリックで拡大)

 また、X線CT解析装置などの導入も進めた。「コネクターの下の部分などは、外観では判断できないため、X線CT解析などが必要になるが、従来はこの解析に非常に多くの時間がかかっていた。新型機を導入したことで、これらの時間を大きく低減できるようになった」(原田氏)。

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省力化に貢献するX線CT解析装置(クリックで拡大)
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内製したファンクションテスター。治具を切り替えればさまざまな機能テストが行える(クリックで拡大)

 OKIネクステックでは、これらの検査工程の自動化をさらに加速させていく方針だ。最新機器の導入を進める一方で、現在はこれらの検査機器はスペース上の問題で実装ラインから離れた位置に設置しているが「今後はラインに組み込めるように検討を進める」(原田氏)としている。

 この他、機能テストを行うファンクションテスターの自作なども進め、人手で行う必要がない領域の自動化を小まめに進めている。「ファンクションテスターは、計測機器類や試験装置などをテスト用キットとして取りまとめ『プラットフォームFCT』として展示会などにも出展し好評を得ている。治具の部分を取り換えるだけでさまざまな機能テストを行うことが可能だ」と原田氏は語っている。

双腕型ロボットの活用も

 また、少量多品種だからこその独自のノウハウもあるという。その1つがポイントDIPである。大量生産であれば、一括ではんだ付けを行う方が効率的だが、少量多品種生産の場合は、保護シールの準備などの関連作業を考えると、1点ずつポイントではんだ付けを行うポイントDIP装置を活用する方が効率がよい場合がある。そのため、用途に応じてポイントDIPを活用することで総合的なスループット向上につなげているという。「1つ1つの作業を見ると、ポイントDIPは遅いように見えるかもしれないが、トータルでの効率を考えると少量多品種生産の場合は、そうでもない場合が多い。活用を広げていく」と原田氏は述べている。

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ポイントDIP機。1つ1つの作業は時間がかかるように見えるがトータルのスループットを考えると効率的な場合も多い(クリックで拡大)

 今後は、さらなる自動化領域の拡大に向け、双腕型ロボットなどの活用も進めていく方針だ。既にさまざまな実証を進めており、「金属の端子曲げ」「CMOSセンサーのテープ貼付」という作業をロボットに担わせているという。「協働ロボットには期待している。さらなる活用領域の拡大に向けさまざまな検証を進めている」と原田氏は述べている。

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既に一部作業を担う双腕型協働ロボット。今後は活用範囲の拡大を進める計画(クリックで拡大)

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