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完成車輸送の脱炭素へ、日本郵船がLNG船に2000億円投資船も「CASE」(1/2 ページ)

日本郵船は2021年6月15日、日本国内の造船会社2社と覚書を締結し、2025〜2028年度で12隻のLNG(液化天然ガス)を燃料とする自動車専用船を建造すると発表した。

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 自動車を生産し、市場に運び、ユーザーが使う……というライフサイクル全体のCO2排出削減に向けて、各社が動き始めた。

 トヨタ自動車はこれまで工場のカーボンニュートラル達成を2050年としてきたが、2035年に前倒しする。日常的な改善ではCO2排出は年間2〜3%の削減にとどまるが、設備更新で塗装や鋳造などCO2排出の多い工程で新技術を取り入れる。シールによるラッピングなど塗料を使わない方法も可能性として検討している。動力源を必要としない「からくり」の活用も重視する。トヨタ自動車 チーフプロダクションオフィサーの岡田政道氏は「電力のカーボンニュートラル化は別途必要な取り組みだが、モノづくりの面でやれることもある」と語る。


トヨタ自動車の「グリーンファクトリー」に向けたロードマップ(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

 日産自動車も、電気自動車(EV)「アリア」の生産に合わせて栃木工場を刷新。新しい塗装工程では、ブース内で空気中に残留する塗料の回収方法を変更するとともに、バンパーとボディーの一体塗装の実現によってCO2排出量を従来比で25%削減する。また、アルミニウム製部品を扱う日産自動車九州では、アルミニウム端材のクローズドループリサイクルを導入した。原材料から同程度のアルミニウムを作る場合と比べて、クローズドループリサイクルでは使用するエネルギーを90%以上削減できるという。

 工場だけでなく、生産した完成車の輸出でもCO2の排出削減が進もうとしている。日本郵船は2021年6月15日、日本国内の造船会社2社と覚書を締結し、2025〜2028年度で12隻のLNG(液化天然ガス)を燃料とする自動車専用船を建造すると発表した。クルマ1台を輸送するときに発生するCO2排出量を低減することで、クルマのライフサイクル全体のCO2排出削減に貢献する。LNG燃料自動車専用船は、従来の重油焚き(だき)船と比べて輸送単位当たりでCO2排出量を40%削減できる。

 船に新技術を搭載するだけでなく、港湾での荷役時間短縮などさまざまな工夫の積み重ねによって燃料消費削減を図る。配船や運航の工夫なども含め、全ての輸送期間でCO2排出低減に取り組む「Sail GREEN」というプロジェクトも推進している。LNGが重油よりも燃料コストが割高である点は、今後炭素税が導入されれば逆転し得るとみている。

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